サステナブルとビジネスを結び付ける思考法

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ビジネスをしていて、最近特によく聞く言葉が「サステナブル」です。

そして、サステナブル活動とビジネス活動をいかに両立させるか?
という課題が非常に大きな課題となっています。

以前、
サステナブル活動とブランディングをつなげる 「パーパス」という考え方 | みなもとブログ (minamotog.com)

と言う記事でサステナブルとブランディングをどのようにつなげていくか?
概要を記載さえて頂きましたが、今回はサステナブルをビジネス成果と
どのように結びつけて考えれば良いのか?という視点で記載をさせて頂きます。

今回参考にさせて頂いたのは

「2030年のSX戦略」という書籍です。

サステナブル課題とは、何か?

Pwsによると、サステナブルにおける経営課題とは
「4つの環境課題」と「3つの社会課題」にわけられると言います。

4つの環境課題
①Co2気候変動 温室効果ガスの排出により温暖化、気候変動を促進
②水 排水による水質汚濁や大量の取水・消費による水不足
③資源廃棄物 包装容器やリサイクル可能な資源が再利用リサイクルされず大量廃棄
④生物多様性 事業活動を通じた農地。土地の開発による生態系破壊が深刻化

3つの社会課題
①身体的人権 強制労働・児童労働などにより人的資源が物理的に既存
②精神的人権 ハラスメントや差別により人的資源が精神的に毀損
③社会的人権 人間が健康的で文化的な最低限の生活を行うために必要とされる権利

この7つの課題の解決とビジネスの機会を結びつけることが、
サステナブルとビジネスを両立することにつながります。

なぜサステナブルが大事なのか?

地球は、環境・社会・経済の三重構造になっています。

それぞれが独立した存在ではなく。
土台である環境がこけたら、社会も経済も皆こけてしまう構造です。

今までは、どちらかと言えば経済面を追求するようなビジネスのあり方が主流ではあったが、環境課題社会課題が重く明らかになるにつれて、その土台を無視することができなくなってきました。

自社にとって重要な、環境課題社会課題を認識した上で、
これ以上傷つかないように、共存していくビジネスを考えていく必要があります。

サステナビリティを左右する3つの要素

①規制

サステナブルに関する様々な規制が生まれており、企業はそれらに対応する必要性に
せまられています。

必要なことは、規制が生まれるメカニズムを知り、先回りをして
準備をする姿勢が大事です。

・NGOの動きをみながら、次に重要となる社会課題を見抜く
・業界の基準や規制をつくるステップを理解した上で
 影響力の大きくなりそうな国際機関やNGOを見抜く
・EUの規制化とグローバル展開に着目する

②価値観

価値観は世代間や地域間で大きな差があります。

カナダのグローブスキャンの調査でも
環境に負のインパクトを及ぼす自分の行為対して罪悪感を覚える
と答えた人は

ベビーブーマー世代:40%
X世代:53%
ミレニアル世代:53%
Z世代:67%

と世代が新しいほど高くなる。

ローカルノームとハイパーノームという考え方

ローカルノームは、国、地域、文化圏、業界など
特定のコミュニティの中だけで通用する倫理規範のことです。

ハイパーノームは、ローカルノームを超えた普遍的倫理観のことです。

ローカルノームで論争が起きると、ハイパーノームに解決の指針を求めようとします。

今後は、ハイパーノームの視点がより重要になり、
結果SDGsがモノゴトの判断軸へとなっていきます。

価値観をもとに、未来を予測するには下記に留意する必要があります。

未来を予測する際の注意点

1:自分の経験に縛られず、未来の世代の価値観がどう変化するかを考える
2:日本だけを見て判断しない
3:ローカルノームとハイパーノームの視点で長期的に選択される規範を考える

③テクノロジー

テクノロジーの進化は次第で未来は大きく変わる可能性を秘めています。

テクノロジーの未来の予測する方法については2つの視点があります

①実用化の目処がつき、5~20年後が予測可能なテクノロジー
②突然生まれる破壊的テクノロジー

①をしっかりと予測しながらも、②が起きた時に迅速に対応する心構えがひつようです

サステナブルとビジネスを結び付ける方程式

出典:2030年のSX戦略

成長=利益=売上ーコストのつながりを見える化します。

リスクとは、機会損失に目をむけることでもあります。

機会損失とは、環境社会との共存に失敗することにより
社会からの信頼を失うことです。

現在は、ビジネスにおいて勝つか負けるかだけでなく
環境・社会の危機により、皆が負ける可能性がでてきました。

サステナブルとビジネスをつなげて考えることは、企業の生き残り戦略でもあります。

グランドストラテジー7つの型

サステナブルとビジネスをつなげて考えるための
7つのグランドストラテジーを紹介します。


【短期×環境社会価値創出によるトップラインの向上】
①サステナビリティブランド型
②顕在化しつつあるトレードオン市場追求型

【短期×オペレーション改善によるコスト減】
③利益率改善型

【短期×リスク対応】
④顕在化リスクの対応

【長期×環境社会価値創出によるトップライン向上】
⑤未来のトレードオン市場創造型

【長期×オペレーション改善】
⑥未来のオペレーションカイゼン思考型

【長期×リスク対応】
⑦潜在リスクへの積極対応型

意思決定の3ステップ

サステナブル施策の投資を決定するには、意思決定のための3つのSTEPが必要です。

STEP①:気づいていない財務インパクトを投資判断に組み込む
STEP②:経済合理性のある事業の利益をさらに拡大できないか検討
STEP③:7つの視点でビジネスモデルを革新

STEP①気づいていない財務インパクトを投資判断に組み込む

財務にどう影響するのか?
サステナビリティ=未来の稼ぐ力を蓄える=プレ財務諸表

の考え方が大事です。

環境社会価値を創造したり、負荷を低減することが
利益増加や企画損失減にどう役立つのか?をつなげて考えます。

例えば、原料調達や製造において、環境や社会に負荷をかけないグリーン商品を
開発することは、新しい市場の獲得(売上機会増)だけでなく
既存顧客が環境負荷の低い他社商品に乗り換えることを防ぎます(売上減少リスクの低減)

また、環境に悪い商品を売る企業という悪評に対応するためのコスト削減にも
つながります

このような因果関係を見える化することが大事になります。

今までは短期的な売上増とコスト減だけを見て投資判断をしていた側面が大きかったように感じます。

環境社会課題と企業の利益を両立するには
環境社会価値と利益、機会損失の関係を明らかにした上で判断をしていくことが必要です。

プレ財務諸表6つの要素
①人材力:
能力の向上、ワークエンゲージメントの向上、健康推進と安全確保により個人力を
最大化し、その総和以上のものを分業と協業によるシナジー効果に創出により発揮させる
力

②オペレーション力:
操業に関わる有形固定資産の運用高度化・効率化力に加え、操業を脅かすリスクの回避
発生時の有形固定資産へのインパクト低減策を取りながら操業を続ける力

③創発・技術開発力:
形式知を高め続ける研究力と、生み出された形式知を構築されたビジネスモデルに
落とし込み、商品サービスなどの価値に変える開発力

④評判形成力
・ブランド価値向上力
自社・商品へのブランドイメージについて、顧客から高い評価を獲得する力、拡張性と持続性を持たせる力
・市場ニーズへの対応・形成力
市場ニーズに対応する力、自ら将来ニーズを形成拡張する力
・規制要請への対応・形成力
規制要請を先読みして、先回り対応をする力、自らステークホルダーを巻き込んで
ルールを形成する力

⑤原材料調達力
将来に渡って調達の安全性および、成長可能性を高めるため、サプライヤーを巻き込みながら企業を取り巻く外部環境の変化に対応し、基盤となる資源生産環境を創造する力

⑥資金調達力
サステナビリティ活動全体の評価を通じて、PLや資本コストを最適化しながら
他の資本を維持増強させるために必要十分な資金を確保する力

STEP②:経済合理性のある事業の利益をさらに拡大できないか検討

経済合理性があると判断された事業に関して、
さらに経済性を追求出来ないか?を考える視点です。

・ビジネスモデルのどこに問題があるか?
・何が改善されたら儲かるようになるか?
・さらに出来る工夫は何か?

など、検討していきます。

STEP③:7つの視点でビジネスを改革

上記の2つをおこなっても、まだ投資額を回収出来なそうな場合は
ビジネスモデルの変革などさらなる工夫が必要

改革の7つのポイント

売上視点

①サステナビリティを付加価値として、単価・シェアをあげる
(あるいは価格維持)

例:従来の商品としての価値提供を行ったうえで、サステナブル要素を加えることにより、単価アップ市場シェア拡大を狙う

②サステナビリティ価値そのもの(Co2排出の削減量、ごみの削減量、健康価値など)を販売しシェア拡大
例:
・再生エネルギーや水素などのクリーンエネルギー、牛のゲップに含まれるメタンの量を削減する飼料など脱炭素に貢献する動き
・健康価値を指数化し、その価値自身を販売するケースなど

コスト視点

③オペレーション改善によりコスト削減

④ビジネスモデル改革によるコスト削減

例:売り切りから部品交換モデル
廃棄物の量と高価な資源の調達コストを削減したキャタピラー

⑤技術革新によるコスト削減

⑥コストをステークホルダーとシェア

例:タンザニアの内陸にっすむ農民向けに肥料を販売
ノルウェーのヤラインターナショナルは政府国際機関NGOと協働して港湾施設や道路などのインフラ整備を行った

⑦コストは長期回収するという意識を持つ

まとめ

今回は、サステナブルとビジネスの両立について書きました。

キーワードは、つなげて考えるということです。

つなげた先のゴールは、

4つの環境課題、3つの社会課題のどれかを事業により解決をして、プレ財務諸表の6つのうちの項目どれかが向上する、というストーリーです。

ストーリーには、設計図が必要で、
そのために、SXの方程式があります。

まずは、方程式に当てはめて考えるところから、はじめてみようと思います。

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