マーケティングの考え方は、どんな仕事にも役立ちます。
なぜならば、「相手の立場に立って、価値を提供することを考える」ための方法だからです。
人は価値に対価を払います。
結果、対価として払われたものが、「売上」となり「利益」になります。
マーケティングは「顧客のためになることをして、利益を出す」ための方法です。
本日は、マーケティングの考え方をどのように身に着けるのか?
をお話しします。
「これから社会人になるけど、どのようなスキルを身に付ければ良いのだろう。」
「マーケティングが大切なことはわかるのでけど、具体的には良くわからないんだよな。」
「普段仕事でもマーケティングをしているけど、復習したい。いい本無いかな?」
といったことを解決できる記事になっています。
結論から言います。
マーケティングの考え方とは、「誰に」「何を」「どのように」価値を提供をするのか?
を考えることです。
この記事では、上記の考え方を身に着けるために役立つ本を厳選しました。
マーケティングの定義
マーケティングとは「売れる仕組み」をつくることです。
そのために、「誰に」「何を」「どのように」価値を提供をするのか?を考えて
実践します。
下記、世の中で言われているマーケティングの定義について記載します。
アメリカマーケティング協会
「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。」
経営会社:PFドラッガー
「マーケティングの究極の目的は、セールスを不要にすること」
マーケティング学会の権威:フィリップ・コトラー
「ニーズに応えて利益を上げること」
と定義しています。
言葉はそれぞれ違いますが、
「顧客が自社の製品を買ってくれる状況をつくること」という本質は変わりません。
要するに、マーケティングとは、「売れる仕組み」をつくることです。
そして、売れる仕組みをつくるためのはじめの一歩は、
「相手の立場にたって、考えること」です。
これは、私が10年以来マーケティングの仕事に携わってきた実感としても言えます。
BtoCとBtoB両方のビジネスモデルも経験しましたが、人が意思決定するという本質は変わりません。
人は、生活において何に困り、商品に何を期待しているのか?
その行動に隠された、意図は何なのか?
徹底的に考え抜くことが、マーケティングにとっては最重要のことです。
マーケティングの考え方が身につく本8選
マーケティングの考え方とは、「誰に」「何を」「どのように」価値を提供し、
利益を得るか?を考えることです。
非常にシンプルな考え方ですが、ひとつひとつは非常に奥が深いです。
「誰に」「何を」「どのように」を考えるために役立つ書籍を下記紹介します。
ここにご紹介する本はマーケティング職についていなくとも、きっと役立つと思います。
【マーケティングの考え方が身に付く本】 全体 ●USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 ●確立思考の戦略論 ●マーケティングマネジメント 「誰に」 ●たった一人の分析から事業は成長する 実践顧客起点マーケティング 「何を」 ●バリュー・プロポジション・デザイン ●JOB理論 「どのように」 ●広告コピーってこう書くんだ読本 ●D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略
マーケティング全体を把握するときに、役立つ本
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
P&GからUSJに移りV字回復を達成させた森岡毅さんが、
「誰に」「何を」「どのように」という
マーケティングの考え方と具体的な使い方を、丁寧に伝えてくれている本です。
※WWH(Who/What/How)という言葉で紹介されています。
前提条件として、市場構造を理解する必要性についても触れています。
実は、自分自身がどのような市場にいるのか?を理解している人は少ないのではないでしょうか?
そして、市場も業界のカテゴリだけでなく、「生活上の状況」や「生活者の困りごとなど」
ビジネスが生まれるあらゆるポイントに市場はあります。
この本を読み、自分自身のビジネスにおいても市場の構造をより強く意識をするようになりました。
下記3つの質問を、区切りで問うようにしています。
「市場における価値は何か?」
「プレイヤーは誰か?それぞれどのような特徴をもっているのか?」
「それぞれ市場の中ではどのような関係性が築かれているか?」
はじめの一冊、何を読めば良いか?と聞かれたら、
この本をオススメしています。
確立思考の戦略論
こちらも、森岡毅さんが書いた本です。
ポイントは「勝てる戦いの探し方」。
一見、卓越したアイデアセンスでヒットを連発しているように見えますが、
その裏には強固なロジックがあります。
「ビジネス戦略の成否は確率で決まっている。そしてその確率はある程度まで操作することができる」
というメッセージのもと、「数学」を用いた具体的な方法が書かれています。
数学と聞いて、拒否反応を起こす方もいるとおもいますが、
数学が苦手なひとでもわかりやすく書かれております。
本書の中で、戦略[経営資源の配分先]について、
生活者からの「好意」と「認知」、店頭における「配架」だと断言しています。
そして、無限の可能性をもっているのは「好意」のみなので、戦略の究極的な焦点は消費者の好意を高めることだといっています。
「好意」という情緒的で、数字では表せないようなものをも、数学の力で数式で見える化し、選ばれる確率を上げていく考え方は、純粋に知的好奇心を刺激します。
この本を読んで、目の前の事象を「方程式」と「因数分解」で考えるようになりました。
わからないものをXと置き、そのXを解くにはどのような要素が必要か?を考えたり、
モノゴトを要素に分解して考えたりと、
曖昧なコトを、手触りのある要素にまで具体化して考えることの有益さを日々感じています。
マーケティング・マネジメント
マーケティング本の中で、古典にして決定版といえる本です。
大家である、コトラーの代表作でもあります。
STP→4Pといった基本戦略はもちろん、リサーチやブランドに至るまで
マーケティングに関する基本的な事項は全てここに記載されているといっても過言ではありません。
ページ数は長大で値段も高いです。
私は、そばに置いておいて、仕事でつまづいたときに必要箇所を見るという使い方をしています。
「誰に」を考えるときに、役立つ本
たった一人の分析から事業は成長する 実践顧客起点マーケティング
P&G、ロート製薬、ロクシタン、スマートニュースでキャリアを歩まれた西口一希氏が書かれた本です。
1人の顧客を起点に商品やサービスの新たな可能性を見つけるための
手法が書かれています。
ビジネスの対象とする顧客を5つにわける「顧客ピラミッド」
この顧客を複数のセグメントに分類したセグマップを使って整理していきます。
主に5つのステップで進めていきます。
①顧客ピラミッド作成
簡易な調査で顧客を5つのセグメントに分解
ロイヤル一般離反認知未購買未認知
②セグメント分析行動と心理
行動データと心理データから各セグメントの基本的な顧客特性を分析
③N1分析
セグメントごとの「一人の顧客(N=1)」にインタビューして、認知や購買のきっかけと深層心理を聞く
④アイデア創出
N1分析をもとに、その顧客の行動と心理状態を変えるアイデアを考える
⑤アイデア検証
「アイデア」をコンセプトに変換し、定量的調査でポテンシャルを評価して実践し
顧客ピラミッドの動きを確認
顧客の理解の「重要性」と「身近でも行えること」をこの本は教えてくれます。
顧客の調査というと、大規模なリサーチを設計しないといけないという幻想がありましたが、
そうではなく、例えば①顧客ピラミッドは「認知」と「購買経験」と「購買頻度」を作れば
作成することが出来ます。
まずはわかることから明確にしていくという行動は、この本が教えてくれました。
「顧客ピラミッド」をつくること
「ターゲットにしたいN1にインタビューをすること」
この2つから、顧客理解は格段と深まっていきます。
「何を」を考えるときに役立つ本
バリュー・プロポジション・デザイン
バリュープロポジションとは「製品やサービスから顧客が期待するベネフィット」のことです。
やり方としては、製品サービスが提供するベネフィットと顧客の特性をFIT(合致)させます。
具体的なツールとして、「ValueMap」というものを活用します。
【ValueMap作成のステップ】
顧客の特性を、
・顧客の仕事
・顧客が達成したいこと、顧客が求める具体的な恩恵(ゲイン)
・顧客の仕事に関係する悪い結果、リスク、障害(ペイン)
から探る。
※顧客の仕事とは、「片づけなければいけない」と思っていること。
これは、ビジネスだではなく、生活上のことも当てはまる。
製品・サービスの特徴から
・ペインリーバー=悩みを取り除く
・ゲインクリエーター=望みをかなえる
という価値を抽出。
顧客特性と製品サービスの価値をFITさせていくという考え方です。
つまるところ価値とは、下記の2つからなります。
「困りごとを解決してくれるか」
「理想をかなえてくれるか」
価値について考えるきっかけとなり、
価値=顧客の利益
顧客の利益=困りごとの解決or理想の実現
という自分なりの整理が生まれました。
ジョブ理論
バリュープロポジションの「顧客の特性」を抽出する際のSTEPは、
イノベーションのジレンマで有名なクレイトン・クリステンセン氏が書かれた
「ジョブ理論」の考え方です。
ジョブ理論とは
「どんな『ジョブ(用事)』を片づけたくて、あなたはその商品・サービスを『雇用』するのか?」
この「雇用」という言葉から、商品・サービスはあくまで手段である、
という事実を再確認させてくれます。
ジョブ理論とは、目的と手段をしっかり認識して、考えていくことにもつながっていきます。
「どのように」を考えるときに役立つ本
広告コピーってこう書くんだ読本
コミュニケーションの中心には言葉があります。
その言葉を職業にしているコピーライターの本からは、示唆に富んだ考え方が
多く得られます。
その中でも、最も伝えることの本質をついていると思った本が
元博報堂のコピーライターである谷山氏の本です。
※ガスパッチョなどの名コピーを生み出しています。
実は、宣伝会議のコピーライター養成講座に通っていた時期があり、
直接谷山氏から教えていただいたという経験があります。
良いコピーを書くためには 、
「発想法」 ではなく 「発想体質」 をつくることが大切だと書いています。
発想体質になるための具体的な心構えがいくつも記載されているのですが、
特に普段の仕事に役立つことをピックアップしました
・「なんかいいよね」 を禁句にする
「なんかかっこいい」「なんかおもしろい」「なんかかわいい」と、
日常の会話でも使いがちだと思います。
発想体質になるには、なぜいいのか?を言語化する習慣をつくること
が大切です。
自分でアイデアをだすときのストックにつながるからです。
・「描写」 ではなく 「解決」 までを提案する
広告コピーは解決につながっていることを書かなくてはいけない
と著者は言います。
これはコピーライター養成講座でも繰り返し言われてました。
コピーを書く経験の浅い初心者は、商品やサービスの状態を描写しがちです。
一歩踏み込み、その商品サービスが「解決」してくれることまで書かないと
「人が動く」良いコピーのにはなりません。
・優れた広告コピーは常識と芸術の間にある
常識とコピーと芸術の三分類の考え方がわかりやすいです。
そりゃそうだ: 常識
そういえばそうだね: 広告コピー
そんなのわかんない: 芸術
広告コピーは 「そういえばそうだね」 という気づきを与える役割です。
誰でも知っている 「そりゃそうだ = 常識」 でも、
誰も知らない 「そんなのわかんない = 芸術」 でも、良い広告コピーにはなりません。
発想体質というのは、つまるところ、「そういえばそうだ」を見つける力だと思います。
D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略
D2Cとは小売りを介さず、顧客に直接商品を販売することです。
近年、デジタル技術の発展に伴い盛り上がりを見せている形態です。
ただのトレンドではなく、ひとつの手法として定着すると考えています。
D2Cのメリット
・流通における中間コストを省く
・SNSを中心としたマーケティング施策で広告宣伝費を抑える
・効率化した資源をモノづくりに活かす
・リアル店は、認知拡大と体験の場と割り切り、顧客データ取得に注力
→そのデータに基づいて顧客に寄り添った商品づくりや体験を提供する
この本で語られている、4Eの考え方は、
D2Cのブランドでなくとも重要になるのではないでしょうか?
■4P→4E
product→Experience:体験
プロダクトを通じて、どのような体験を提供できるか?
price→Exchange:交換
提供者都合の値付けではなく、提供しているモノの価値との最適な見合いでの値付け
promotion→Evangelism:伝道
ブランドが一方的に広告を打っていた過去と異なり、
顧客自身が物語の語り部となり、口コミをSNSで伝播させていくかが重要。
Place→Every Place:あらゆる場所
カスタマージャーニーのどこをとっても、オンラインとオフラインがシームレスにつながっていること
※カスタマージャーニー
顧客がどのように商品やブランドと接点を持って認知し、関心を持ち、購入意欲を喚起されて購買に 至るのかを時系列で表したもの
まとめ
マーケティングに役立つ本を紹介してきました。
マーケティングのスキルを身に着けるには、
今回紹介した書籍などを読む、ケーススタディなど「インプット」も大切ですが、
実際に試しながら知見を得る「アウトプット」の視点も大事です。
そして、「アウトプット」とは必ずしも、マーケティングの実務に限った話ではありません。
目の前の仕事を「誰に」「何を」「どのように」の視点で考え、行動する。
それだけでも、マーケティングスキルを身に着ける実践の場です。
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