「現場」が大事
とは仕事をしているうえで本当によく聞く言葉です。
そもそも
・「現場」とはなにか?
・「現場力を上げる」にはどのようなことが必要なのか?
このような問いに応えてくれる最適な本をみつけました。
『現場論-非凡な現場をつくる論理と実践-』
とくに、参考になったポイントを共有します!!
現場とはなにか?
現場とは
「今まで」と「これから」の間の「今ココ」:結節点
です。
そして、現場には5つの特徴があります。
【5つの特徴】
①現在進行性
②予測不可能性
③即興性
④具体性
⑤複雑性
現場力とは:3つの能力
現場には、おもに3つの力があると言います。
①保つ能力:維持
②よりよくする能力:改善
③新しいものを生み出す能力:現場起点のイノベーション
③に近づけば近づくだけ、「非凡」な現場だといえます。
100以上の現場を訪れたとする著者からして、「③新しいものに到達する能力」に到達している現場は、
日本に10%くらいだと言います。
80%が平凡な現場だと言います。
平凡にもなりきれない「①保能力」が満たせていない現場も10%程度存在していると言います。
平凡な現場から非凡な現場へするには「活動」が必要です。
現場力を高める活動
活動には
①合理的必然性
②合理的仕組み
が大事になってきます。
①合理的必然性
活動に必然性を持たせるには
戦略-能力-信条
という3つの要素を同期させる必要があります。
フェーズ1:活動の必然性を担保する
「何のために行うのか?」
「何にこだわってその活動を行うのか?」
を明確にしていきます。
1:戦略と活動を一貫化させる
現場力を高める活動は、戦略的な目的が不可欠です。
戦略的必然性がないと、現場は本気で取り組みません。
例えとして出ていたのがデンソーです。
日本国内で開発導入を始めている1/N設備などを利用し、新興国の生産体制もシンプルかつスリムなものにする
とい全社方針のもと、大量生産から変種生産への転換という戦略的使命を現場は担いました。
それでも否定的な意見が当初は出たと言います。
なぜこの活動をするのか?
をしつこく説いて回り、理解を求めました。
活動のための活動ではなく、実現すべき戦略が明示されその戦略と活動の「一貫性」が担保され、
現場がその必要性を理解納得すると本気度が増します。
2:信条で活動を下支えする
活動を進めるには、「何にこだわってその活動をするのか?」という共通の信条を明確にする必要がある
信条は会社あのこだわりともいえます。
勝手な思い込みではなく、こだわることが自社を成功へ導く最も合理的なやりかたを示すものだ
と現場が理解し納得する必要があります。
デンソーの例で言うと、デンソースピリットというものが明文化されています。
フェーズ2:小さな成功を積み重ねる
3:現場の愚直さを引き出し、「非凡な活動」に変質する
現場の粘り強い取り組みを引き出すには、「目に見える成果」を早期につくることがポイントです。
たとえ小さくても成功体験を積み重ねることで、現場力は強化されていきます。
「そんなことできるのか?」
という懐疑的な人を本気にさせるには、小さな成功を早期に生み出すことが大事です。
組織能力化するといいます。
フェーズ3:能力を活かす新たな戦略を策定し、独自の企業文化を形成する
4:能力に立脚した戦略の策定
能力の進化は新たな戦略策定の基盤となります。
差別性はもちろん、実行力が担保されているがゆえ、迅速に具体に移せます。
「よりよくする」というコア能力があってこそ、新しいものを生み出すことが可能になります。
5:企業文化の醸成
共通の信条が現場で実施され、成功体験を積み上げ、組織能力かすることにより独自の企業文化が形成されていきます。
企業文化は、重要な資産であり、競争力の基盤です。
②合理的仕組み
現場力を高めるには「①合理的な必然性」とともに「②合理的な仕組み」が備わることが必須です。
「よりよくする」は、「標準→気づき→知恵→改善」というステップを分で循環します。
よりよくする循環
ステップ1:標準
現場に標準は欠かせません。
標準化された業務手順、ルール、ガイドラインが整備され、それを全員が理解し徹底させることが大事です。
無印良品は、200ページを超える「MUJIGRAM」というマニュアルがあり、それを整備したのは、属人的な仕事のやり方が万円していた現場には共通の手順/やり方が必要だとかんじたからだと言います。
標準をつくり、標準を徹底させることから、「よりよくする」循環ははじまります。
ステップ2:気づき
標準は現場のよりどころであると同時に完璧ではありません。
状況は常に変化しますので、一度定めた標準とも乖離がでることも自然です。
この乖離に気づくことが現場の重要な任務です。
標準の遂行当事者しか、乖離や矛盾に気づくことはできないからです。
現場に感じる「違和感」にこそ「よりよくする」ヒントがあります。
ステップ3:知恵
違和感は放置していてもなくなりません。
なぜ違和感が起きるのか?どうすればなくせるのか?を考え工夫する。
それこそ「知恵」を使うことであり、知識創造です。
「思考する現場」になることが必須です。
ステップ4:改善
知恵を具体的な改善につなげ、成果をあげることが大事です。
気づき→知恵→改善のサイクルが全社の改善につなげるために必要になってきます。
よりよくする土台
「よりよくする能力」
「新しいものを生み出す能力」
がコア能力になっている企業は、
この「循環」を起こし、継続させるための様々な工夫が施され、循環を支える「土台」として機能している。
合理的な仕組みは、循環を支える「土台」も大事になる。
要素1:阻害要因の除去
保つ能力にとどまっている現場は、「よりよくする」ことは余計なこと、二次的なことという認識を持たれがちです。
ちょっとした阻害要因が、現場にはできない理由、やらない理由となってしまい。
その阻害要因を取り除くことが、循環を機能させる土台となる。
阻害要因は「時間的阻害要因」と「意識的阻害要因」の2つに分けられます。
Ⅰ:時間的阻害要因
忙しい、時間がない
は最大の言い訳として存在します。
気づきをシートに記入したり、PC入力が面倒といった具合です。
簡単に書き留められるツールを用意したり、PC入力をする時間をとったり、小さい工夫が解決の糸口になります。
Ⅱ:意識的阻害要因
提案しても採用されない、フィードバックがない、時間がかかりすぎる
といった阻害要因は、やっても意味ないという意識を生みます。
良品計画は提案を受ける本部側の対応を強化することで改善しています。
たとえば、かならず1週間以内にフィードバックをしているようです。
この迅速なフィードバックは現場の意識を高めます。
要素2:報酬
よりよくする能力を確立するプロセスにおいては、活動を奨励し、報いることが必要です。
成果につながる改善提案を行ったチームや個人を認知し報酬を与えることによって、こうした活動の重要性が認識されるとともに、競争意識が生まれます。
現場の努力を見える化し、「日常的:例)こまめに褒める」「非日常的:例)表彰制度)に報いることが不可欠です。
要素3:競争
競争は、現場間の競争意識をあおり、切磋琢磨によってそれぞれの能力をさらに引き上げることです。
表彰制度など、「見える化」されることにより、他の現場にとって刺激になります。
要素4:学習
社内外の卓越した能力をもつ、現場から学び、自らの現場への応用を研究することにより、自社の取り組みに磨きをかけることができます。
ロールモデルとなるような現場を知ることが大事です。
ゼロから手探りではじめるより、模範をさがし、そこからヒントを得ます。
ただ、いくら優れた事例があっても、ビジネスの特性や現場のおかれている状況は異なるので、それをそのまま真似しても成果にはつながりません。
大切なことは「答え」ではなく「ヒント」を求めようとする姿勢です。
答えを導くのはあくまでの自分たちだということを自覚することが大事だと言います。
まとめ
活動を能力へと転換させ、「よりよくする能力」「新しいものを生み出す能力」へと高めるには、「①合理的な必然性」と「②合理的な仕組み」が必要
①合理的な必然性
何のために、何にこだわって活動を行うのかを1人1人が理解し、納得し、腹落ちしている
②合理的な仕組み
活動を能力へと転換するプロセスにおいて、能力形成に必要な要素が整い、循環的な仕組みとして機能している。
今、働いている場所も「現場」です。
いかに自分がいる現場を「非凡」にしていくか?
『現場論』を参考にチャレンジしていきたいと思います。
コメント