・普段仕事をしていて、話が通じない人が多い
働いていると、このような悩みにぶつかることありませんか?
私は、わりと大きな企業で働いています。
事業部が何個も分かれており、事業部をまたいで協業する機会も多くあります。
そのときに、感じるのが「何となく話が通じないな」という感覚です。
自分が言ったことがうまく伝わっていない。
または、相手の言っていることが理解できない。
同じ会社にいるのに、なぜそんなことが起きるのか?と不思議でした。
「他者と働く」という本に出会い
人と働くときに生じる齟齬の正体と、解決方法について知ることが出来ました。
本日は、
・人と働くときに、気を付けておきたい心構え
・一緒に働く人を理解するための具体的STEP
について、お話しをしていきたいと思います。
なぜ、人と話が通じないのか?
私はマーケティング部、営業部、商品開発部と色んな役割を担当してきました。
その時に感じるのは、
・なぜほかの部署の人たちは非協力的なのだろう
・なぜほかの部書の人たちは、いきなりよくわからないことを言ってくるのだろう
という疑問でした。
そのときの自分のアタマには、
「話す相手も、自分と同じ境遇にあるはずだ」
という思いがありました。
・相手も同じはずなのに、なぜこの考えが認められないのか?
・相手も同じはずなのに、なぜいきなり意味わからないことをいってくるのか?
この認識こそが、人と話が通じない原因だったのです。
こう文章にして書いてみると当たり前のように思えますが
意外と同じようなことを考えてしまっていること、あると思います。
まずは、
お互いに境遇は違うし、わかりあえていないことを認める
ことこそが、解決への第一歩です。
4つの適応課題
このような話が通じないという問題をいかに解決するかという視点は
「適応課題」と呼びます。
※一方既存の知識や技術で解決できる課題を技術的問題と言います
適応課題とは関係性の中で生じる課題です。
そして大きく4つに分けられると言います
①ギャップ型
大切にしている価値観と行動にギャップが生じている
②対立型
お互いのコミットメントが対立すること
例えば、営業部は短期的な売り上げ
開発は長期的に革新的な商品を生み出すこと
など時間軸などに差が生じることです。
③抑圧型
言いにくいことを言わない
何かを言うことが難しかったり、行ってしまうと厄介なことに巻き込まれるようなことが
予想される場合、言ったほうが良いのに言わない、ということがあります
④回避型
痛みや恐れを伴う本質的な問題を回避するために、逃げたり別の行動にすり替えたりする行動
この4つのタイプに共通するのは
どれもが既存の技法や個人の技量だけだは解決できない問題であり
人と人、組織と組織の「関係性の中」で生じている問題だということです。
ナラティブという考え方
話が通じないをはじめとして「適応課題」
を解決する手段は「対話」です。
対話とは新しい関係性を構築することです。
その一歩目として、相手を変えるのではなく、自分が少し変わる必要があります。
では何を変えるのか?
それが「ナラティブ」です。
ナラティブとは、物語、つまりその語りを生み出す「解釈の枠組み」のことです。
ビジネスの上では、「専門性」「職業倫理」「組織文化」といったイメージです。
上司と部下の関係において、部下は上司にリーダーシップや責任といった解釈を行い
それが沿わないと不信感をもったりします。
上司の立場に立つと、一概にリーダーシップや責任だけではない場合もあります。
要は、その人がおかれている環境における「一般常識」のようなものです。
自分側のナラティブに立って相手を見ていると、相手が間違えているように感じますが、
相手側のナラティブに立てば、自分側が間違えているように見えることもありえます。
自分側と相手側のナラティブに溝があることを見つけて、いわば溝に橋を架けていくこと
が対話です。
ナラティブに橋を架ける、具体的4つのSTEP
対話とは、一方的な技術だけでは歯が立たない「適応課題」であり
「新しい関係性を築くこと」であると記載しました。
そのためにナラティブ(自分の一般常識)の溝
溝に橋を架けるためのSTEPは4つあります。
①準備:「溝に気づく」 相手と自分とのナラティブに溝(適応課題)があることに気づく ②観察:「溝の向こうを眺める」 相手の言動や状況を見聞きし、溝の位置や相手のナラティブを探る ③解釈:「溝を渡り橋を設計する」 溝を飛び越えて、橋が架けられそうな場所やかけ方を探る ④介入:溝に橋を架ける 実際に行動することで、橋(新し関係性)を築く
ひとつひとつ詳しく見ていきたいと思います。
①準備
まず、いろいろな手段を実行しようとしても、相手が言うことを聞いてくれない
なかなか動いてくれない、
・自分から見える景色を疑う
技術的なアプローチがうまくいかないことに気づく
・あたりを見回す
自分のナラティブを一度わきに置いてみる
・溝があることに気づく
関係性が適応課題を生み出していることを認める
②観察
自分と相手のナラティブには隔たりがあることがわかりました。
向こう岸にいる相手が一体どんな環境、職業倫理などの枠組みの中で生きているのか?
そのナラティブを知ろうとすることが次の段階です。
・相手との溝に向き合う
適応課題に取り組みことを決める
・対岸の相手の振る舞いをよく見る
相手の言動を観察する
・相手の取り巻く対岸の状況をよく見る
相手のナラティブを観察する
③解釈
観察にすることで、相手のナラティブを把握できれば自分の言っていること、
やろうとしていることが、相手にとって意味あるものとして受け入れられるために
必要なポイントが見えてきます
解釈は、橋を架けるために、どこにどんな橋を架けるべきかを設計します。
・溝を超え、対岸に渡る
相手のナラティブをシュミレーションする
・対岸からこちらの岸を見てみる
相手のナラティブに基づいて、自分がどう見えるかを眺める
・橋を架けるポイントを探して設計する
「新しい関係性」を作る方法を構想する
④介入
実際に行動することで、橋(新しい関係性)を築くのが「介入」の段階です。
今まで相手のことを良く調べて、考えてきたので、行動に移す段階です。
・橋を架ける
実際に行動を起こして、新し関係性を築く
・橋を往復して検証する
新しい関係性を通じてさらに観察する
・橋を補強したり、新しい橋を架ける
さらに観察-解釈-介入をして、新しい関係性を更新する
自分としては、準備の段階が一番大事だと思います。
まずは、自分のナラティブ(常識だと思っていること)に気が付き
それを脇に置いてみるコト、ここからはじめてみたらいいと思います。
対話がうまくいかない、5つの罠
どうすれば、対話ができるか?
という話をしてきましたが、ここで対話をしているようで対話になっていない例を
5つほど紹介します。
①気づくと迎合になっている
相手の考えを尊重することは大事ですが、自分の考えを尊重せずに
迎合するだえでは、自分が気が付いた課題意識や問題点を見ないようにする
すなわち諦めることにつながってしまいます。
相手のことをかんがえるからこそ、自分の考えを伝える
という姿勢がだいじです。
②相手への押し付けになっている
上司と部下の関係など、権力があることがむしろ対話を妨げることがあります。
権力が対話を妨げるのは、関係性が変わってしまうからです。
関係性が変わってしまえば、同じ言葉を発していても、相手のナラティブの中では違う意味で受け取られます。
とくに権力のある人は立場が下の人よりもナラティブの溝がみえにくくなってしまいます。
そんなときは、自分のナラティブを脇に置くという基本姿勢が大事になります。
③相手と馴れ合いになっている
対話を続け、良い関係性が築けたとします。
すると、その関係性を維持したいという考えが出てきます。
関係を維持したいからこそ、言いたいことが言えない、「抑制型」の適応課題が生じてしまいます。
関係の維持は、変わらないことではなく、よりよく変わり続けるコトです。
そのためにも、対話を続ける姿勢が重要です。
④他の集団から孤立する
良い関係性を築けたチームは非常に強くなります。
一方で、自分たちと周りとの間に隔たりが生まれてしまう場合があります。
組織の中でも特別視されることは、悪いことではないのかもしれませんが、
周りから冷ややかな目でみられる、話が通じなくなってしまうなどが生じることがあります。
そういったチームには、チーム内の馴れ合いやナラティブの溝が生まれはじめている場合があります。
強い結束のあるチームだからこそ、チーム内一人ひとりのナラティブを観察しあう姿勢が大事です。
⑤結果が出ずに徒労感に支配される
対話に取り組んでも、橋がかからない場合もあります。
話が通じないことが続くと、疲れたりいやな気持になることもあります。
そうしたときは、休むことも大事です。
どう頑張っても無理な場合は、場所を変えるなど、辞めることも検討に入れて良いと思います。
今いる場所が世界の全てではないことを自覚すると、気持ちも楽になります。
まとめ
ナラティブ(自分の常識)という考えに着目するという意識を持つだけで
ビジネスにおけるコミュニケーションがとりやすくなりました。
まず自分から変わる、自分の目線を変えるという、ちょっとした工夫から変わっていくことが実感できています。
自分のナラティブ(常識)と相手のナラティブ(常識)は違う
ということ気づきだけでも、話が通じないなと感じたタイミングで思い出して頂けると嬉しいです。
さらに、対話について深ぼって考え合場合は
今回参考にした「他者と働く」という書籍を手に取って頂くことをおすすめします。
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