・市場規模はどれくらい?
・売上はどれくらい?
新規事業などのアイデアを出したら必ず聞かれますよね。
そして、、こまりますよね、、、
調べても出てこないですし、、、
未知の数字を導く技術があります。
「フェルミ推定」です。
フェルミ推定と聞くと、外資コンサルの入社試験?と思うかもしれませんが
日々のビジネスでこそ使えます。
そのことを教えてくれる本が
『ロジカルシンキングを超える戦略思考 フェルミ推定の技術』です
フェルミ推定とは?
フェルミ推定とは
「未知の数字を、常識知識を基に、ロジックで、計算すること」
です。
未知の数字:
知ることが出来たら、ビジネスを先に進めるけど、調べてもどこにもない数字
を探す、作り出す冒険
常識知識:
自分の頭の中にある常識と知識を手がかりに考える
例えば、新しくカフェを出そうと思ったときに、近くのスタバを参考にすると
・コーヒーの値段
・席の数
・混み具合
・店内/テイクアウトの割合
など、知っている知識を動員して考えていきます。
ロジック:
未知の数字を算出するためにどのような道を通れば良いのか?
を考える
計算:
具体的な数字を入れて、計算を行う
そもそも答えがありません。
フェルミ推定の目的は、正しい数字を出すことでは無く、「議論の土台」をつくることにあります。
フェルミ推定の要素は下記3つあります。
「因数分解」= 構造 / 因数 / ドライバー / KPI
「値」= 中身 / 数字 / 桁 / 単位
「話し方」= 伝える / 議論する
そして、
「現実を投影していること」
「ビジネスモデルを反映していること」
「社会を反映していること」
が大切になります。
因数分解について
未知の数字を出すために、要素を分解し、筋道をたてます。
ただ細かく、算数的に因数分解するのではなく、そのプロセスに納得感を持ってもらう必要があります。
因数分解4つの哲学
①「因数分解のイメージ:ジャンプ」
②「気持ち悪いドリブン」
③「3段ロケット因数分解」
④「重要性の法則」
ポイント①因数分解のイメージ:ジャンプ
因数分解はただ分けるというよりも、ジャンプしていくというイメージが近いです。
スタートから目的値をつくり、そこに近づきジャンプします。
最後は、観の要素が強くなっていきますが、近づく感覚が大事です。
スポーツジムの市場規模を、5千億!といきなり言うと、そもそも判断できませんよね。
「スポーツジムの数」×「1店舗の売上」
↓
「スポーツジムの数」×「1店舗あたりの会員数」×「月会費」×「12ヶ月」
↓
「スポーツジムの数」×「延べ利用者」÷「利用頻度」×「月会費」×「12ヶ月」
↓
「スポーツジムの数」×(「キャパシティ」×「回転数」×「30日間」)÷「利用頻度」×「月会費」
と近づいていきます。
ポイント②「気持ち悪い」ドリブン
気持ち悪い=数字の置き方や考え方自体が、「現実」や「事実」をうまく表せておらず、違和感を感じる
例えば
マッサージチェアの市場規模=
「旅館などのマッサージチェアを保有する施設の数」×「マッサージチェアの数」
これだと、旅館は毎年マッサージチェアを買い換えることになります。
現実に照らし合わせることが大事ですね。
マッサージチェアの市場規模=
「旅館などのマッサージチェアを保有する施設の数」÷「耐用年数」×「マッサージチェアの単価」
このままでは、「施設に1個」しかマッサージチェアがないことになります。
マッサージチェアの市場規模=
「旅館などのマッサージチェアを保有する施設の数」×「1施設にあるマッサージチェア数」÷「耐用年数」×「マッサージチェアの単価」
因数分解は、違和感を大事にしてそれをクリアしていく作業でもあります。
ポイント③「3段ロケット因数分解:ホップステップジャンプ」
因数分解を考えるときは、一発で細かい因数分解ではなく、段階的に細かくしていく因数分解にします。
イメージとして3段階で深ぼっていく
1段階目
「スポーツジムの数」×「1店舗の売上」
2段階目
「スポーツジムの数」×「1店舗の売上」
=「スポーツジムの数」×「1店舗あたりの会員数」×「月会費」×「12ヶ月」
3段階目
「スポーツジムの数」×「1店舗の売上」
=「スポーツジムの数」×「1店舗あたりの会員数」×「月会費」×「12ヶ月」
=「スポーツジムの数」×「延べ利用者」÷「利用頻度」×「月会費」×「12ヶ月」
1段階より2段階の方が、「1店舗の売上」が細かくなっている
2段階より3段階の方が、「1店舗あたり会員数」が進化している
極力現実を投影した数字を作るためにも、3段階をイメージして作っていくことが大事です。
ポイント④重要性の原則
重要ではない、無視しても良いくらい小さい場合は考えなくてもOK
マッサージチェアの市場規模を
「旅館などのマッサージチェアを保有する施設の数」×「1施設にあるマッサージチェア数」÷「耐用年数」×「マッサージチェアの単価」
と分解しましたが、真正面から因数分解をすると
「旅館などのマッサージチェアを保有する施設などの法人の数」+「マッサージチェアを保有する世帯などの個人向け市場」
となります。
そして、個人でマッサージチェアを持っている世帯はそんなに多くないのでは無いか?と判断し対象からはずしています。
解く人により変わります。
なので今までの人生経験が大事になってくるのです。
細かいところにエネルギーを使わず、メインに注力する姿勢ですね。
覚えるべき因数分解のパターン6パターン
①商圏方式
商圏ビジネスを行うコンビニなど、店舗サービスの「売上」などを推定する際に使う。
②駅方式
人が集まるところに店舗/施設をつくる英会話スクール、スポーツジムなどの「市場規模」を推定するときに使う
③キャパシティ法則
席や部屋などのキャパシティを起点に事業を行う、カフェ、マッサージ、ホテルなどの売上を推定する際
④面積方式
タイミングキャッチビジネスの市場規模想定や、あまり手がかりがないテーマで推測
⑤レジ方式
混んでる店舗(お客さんを集めるよりも、さばくことのほうが論点な事業)の売上の推定
⑥ストックとフロー方式
「保有者を耐用年数で割、1年の売上に割り戻す」と「延べ会員数を頻度でわり、会員数に割り戻す」
因数分解の良し悪しの判断
因数分解も一つではなく、複数出すことが大事です。
その時に、どの因数分解を選ぶか?判断する必要が出て来ます。
そのときの判断軸は3つあります。
①ビジネスモデルとの整合性
現実の投影です。より現実に即した因数分解にする必要があります。
②その後の議論との整合性
フェルミの先には目的があります。
その後の議論がやりやすい因数分解が必要です。
③「値」のつくりやすさ
とにかく答えを出すことが大事です。
なので具体的に数字がでるわけかたをする必要があります。
値について
答えをとりあえずでも作ることに価値があります。
なので、どのように値を置くか?はとても重要です。
勘と根拠
フェルミ推定は勘の要素が入ります。
だからこそ、ピンときた!がだいじです。
勘かな?と問うたときに
はい:ピンとくるように、何かしらの根拠を考える
いいえ:OK!そのまま進めましょう
スポーツジムの数×一店舗あたり会員数×月会費×12ヶ月
5000店舗×1000人×1万円×12ヶ月
=まるめて5000億円
この中で勘の要素が大きいのは
1店舗あたり会員数=1000人
です。
ピンときてもらうためにさらに分解します。
「一店舗あたり会員数」=「延べ利用者」÷利用頻度
「5000人」「週1回」とすると会員数は1250人
延べ利用者にはまだ勘の要素が強いです。
そんな時は、幅を持たせることが大事です。
イメージできる事務で、最低でも500人キャパてきに1500人が限界
といったイメージです。
数字も2500億~7500億と幅を持たせ議論できます。
リアリティチェック
今算出した数字は本当に現実味のある数字なのか?をチェックする必要があります。
やり方として、
「違う」因数分解(=やり方)で算出してみる
スポーツジムの数×一店舗あたり会員数×月会費×12ヶ月
5000店舗×1000人×1万円×12ヶ月
=まるめて5000億円
リアリティチェックとして、提供する側ではなく、利用する側から見てみます
「スポーツジムに通おうとする層」×「スポーツジムに通う割合」×「年会費」
市場規模を5000億とすると、それぞれの数字を「1億人」「10万円」とすると、スポーツジムに通う割合は5%になります。
20人に1人が通っているイメージなので現実的にも違和感がありません。
田の字
田の字とは、セグメンテーションを年代とかではなく意味のある2軸で切る/分けるという意味です。
2by2とも言われます。
2つの軸で4つのセグメンテーション、カテゴリー、4象限に分けて考えます。
スポーツジムを例に取ります。
スポーツジムの市場規模=
延べ利用者数(キャパシティ×平均回転数×月営業日数)÷平均利用頻度×月会費×12ヶ月
平均回転数を田の字にします。
中の数字はどれくらい回転しているのか?になります。
例えば
10回転
5回転
2回転
1回転
数字に差を出して入れ込みです。
そして軸を選んでいきます。
ここが、かなり刺さったポイントなのですが
「縦軸・横軸の2軸をきめてから数字」
ではなく
「差のついた数字を思い浮かべながら2軸を決める」
なのですね。
右上が一番Good
左下が一番Bad
になるように入れていきます。
土日の朝か夜が混んでいる。
とイメージできるので
1軸目=平日or土日
2軸目=朝+夜or夕方
と決めます。
となると、
10回転=「土日」×「朝+夜」
5回転=「平日」×「朝+夜」
2回転=「土日」×「夕方」
1回転=「平日」×「夕方」
このようなイメージになります。
話し方について
結論からの意味
結論である「値」を具体的に提示することで、相手に論点を持ってもらうようにします。
ここでの「論点」とは、気になる疑問点のことです。
スポーツジムの市場はいくら?
と聞かれて
「五千億円」
と答えることで
・その値は大きすぎない?小さすぎない?(=違和感)
・どうやって計算したの?(=気になる点)
・どの因数が自分の肌感覚と違うか?(さらに気になる点)
聞き手に違和感を持たせる→気になる点を持たせることで
聞かなくてはと思ってもらうことが大事です。
構造と値は分離
伝え方の大原則は
「構造」と「値」を分離した上で、「構造」→「値」の順番で話していきます。
フェルミ推定では
①算出した値(聞かれたことへの答え)
②因数分解(構造)
③因数ごとの値(値)
の順番で説明していきます。
スポーツジム市場の値は「5000億円」です。
具体的にどうやって計算したか?と言いますと
「スポーツジムの数」×「1店舗の売上」で計算します(構造)
それぞれ「5000店舗」「1億円」となりますので、単純計算で5000億です(値)
もう少し、「1店舗の売上」は分解して考えており、1店舗の売上は
「1店舗当たり会員数」×「月会費」×「12ヶ月」で計算しており(構造)
それぞれ「1000人」「1万人」「12ヶ月」で、単純計算で1.2億円になります。
自分がどこを話しているのか?迷子にならず
これは普段のビジネスシーンでも役立つと思います。
まとめ
フェルミ推定は、数字で考えるための強力な武器です。
①因数分解
②値
③話しかた
を意識していきたいです。
この本は本当に示唆に富んでいて、まるごと暗記したくなるほど良い本だと思いました。
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