【こんなお悩みを解決します】
・会議の進行役をやったけれど、なかなか上手くいかない
・今度ワークショップを行うことになったけど、上手いこといくかが不安
【この記事の内容】
・会議やWS(ワークショップ)の進行をスムーズにするファシリテーションについて ・ファシリテーションの具体的のスキル
私は、BtoBメーカーにおいてマーケティングの仕事をしながら
中小企業診断士としてコンサルティングの仕事をしています。
お客様、外部協力会社、自社のメンバーと境遇はそれぞれ異なるメンバーと
日々、協働をしながら仕事を進めています。
テーマを進行するうえで、会議や、ワークショップの機会も多くあり、
そこでは「ファシリテーション」のスキルが重要です。
この記事では、はじめてファシリテーションをするシーンを想定しながら、
具体的に役立つスキルを紹介していきたいと思います。
ファシリテーションとはなにか?
ファシリテーションとは、
「人が集まる活動の場」において、良い結果が出るように活動をサポートすることです。
ビジネスは、「あるべき姿」を設定して、「現状」から「あるべき姿」へと進んでいく活動ともいえます。
そしてビジネスにおける活動は、二人以上の人が協働してすすめることが大半です。
協働の効果を最大限引き出すためのスキルこそが、ファシリテーションスキルです。
ファシリテーションスキルとは?
ファシリテーションのスキルとは、
「課題を設定するスキル」
「課題を解決するスキル」
の2つに分けることができます。
「課題を設定するスキル」
課題を設定するスキルは、下記3点にわけることができます。
・「あるべき姿」を設定する ・「現状」を把握する ・「現状をあるべき姿に近づけていくための課題」を設定する
あるべき姿を設定する
あるべき姿とは、仕事のゴールが達成された状態のことを言います。
例えば、
・年間〇〇の売上
・新商品の開発
・組織風土の改革
などです。
私は、協働をさせて頂くテーマにおいては
・個人の能力に頼らずに、仕組みを変えることで、年間〇〇の売上を達成
・新商品のアイデアが1ヶ月に10個継続的に出る状態
・現場からの意見が1週間に1回くみ取られる、風通しの良い組織風土
のように、「期限」と「具体的な数字」と「状態」を具体的に
わかるように設定するように心がけています。
現状を把握する
現在の状態を把握します。
資産を5つに分解して、情報を整理するとすっきりとします。
①物的資産:機械や設備など
②金融資産:現金預金など
③組織資産:リーダーシップやチームの特徴など
④人的資産:ノウハウなど
⑤顧客資産:客とのつながりや協力会社とのつながりなど
①物的資産と②金融資産はBS(貸借対照表)にも載る、「目に見える資産」
③組織資産と④人的資産と⑤顧客資産は「目に見えない資産」といわれます。
現状をあるべき姿に近づけるための課題を設定する
現状とあるべき姿を見比べた時のギャップを把握します。
「解決すべきギャップ」が課題となります。
そして、課題を解決するための活動でも
ファシリテーションスキルが必要になります。
課題を解決するスキル
では設定した課題に対して、どのように解決をしてくのか?
複数の人と協働する活動の場は主に4つのパターンに分けられることができます。
課題解決に向けた4つの活動
活動の目的として、意見を「発散」するか「収束」するか?
という視点と「多くの人と場を共有するか?」「少人数で行うか?」で変わってきます。
【壁打ち】
数人で、ざっくばらんに意見を出し合う場のイメージです。
【ワークショップ】
たくさんの人々と、同じテーマについて意見を出し合う場のイメージです
可能性を多く出し切ることを目的に
【会議】
会議という言葉は沢山の意味があります。
ここでは、主に意思決定を行う場として、会議を定義させて頂きます。
意思決定を行うために、広がった可能性や意見を、適切な判断軸をもって
収束させていくことがポイントになってきます。
【プロジェクト】
特定のゴールをめざして、多数の関係者の方々と協働して進んでいく
活動です。
各活動の場において、モノゴトを進める技術こそがファシリテーションの
「課題を解決するスキル」になります。
場の雰囲気をつくる技術
活動を行っていくにあたり、はじめての人たちとディスカッションをする機会は多いです。
その時に場の雰囲気はとても大事です。
言いあの雰囲気とは、
「話しやすさ」と「前向きさ」です。
広島のとある企業で商品開発のディスカッションをしたときに、
はじめ、なかなか活発にアイデアがでなかった経験があります。
部門横断で集まっていて、お互いを探り合っているイメージがありました
そこで、2つのことをしました。
1つは「ルール」を決めました。
もう1つは「アイスブレイク」をしました。
ルールは「このWSを成功させるには?」というお題でみんなで設定しました。
ディスカッションの結果、4つのルールを決めました。
①相手を非難しない
②人の話を聞く
③楽しく議論
④積極的に発言する
この4つのルールこそ、「話しやすさ」と「前向きさ」を促すものでした。
下記、場の雰囲気を柔らかくするアイスブレイクを紹介します。
多数のアイスブレイクを試して来ましたが、下記記載しているアイスブレイクは
再現性高く場が温まります。
【実は〇〇自己紹介】
名前や出身、仕事内容などのオーソドックスな自己紹介の最後に、意外な一面を共有してもらう
「実はわたくし、キャンプオタクです」
「実は自分、自作でPCを創ってます」
「実は、学生時代から俳優もやってました」
など、実際に出た実は〇〇です。
その人の、個性が一発で分かりおすすめです
【30サークル】
A4の紙に30の「〇」を用意します。
1人が「○」の中に絵をかいて、左隣の人が答える
ということを制限時間内に、どれだけできるか?を実施するゲームです。
複数のチームが居れば、競ってみるのもおすすめです。
数だけでなく、違うチームの「〇」の使い方や発想の違いを比較するのもおもしろいです。
【タイムマシンディスカッション】
例えば、「2006年に何をしていたか?」というテーマでチーム内話してもらいます。
少し昔を設定することで、時代を振り返ることも、自分を振り返ることも出来て
会話も弾みます。
思考と言葉を引き出す技術
場の雰囲気がつくれたら、参加メンバーの「思考」と「言葉」を引き出すということを意識する必要があります。
大切なことは「問い」の視点です。
ファシリテーターを含め、参加メンバー誰しもが「答え」を知っているわけではありません。
現代のビジネスは複雑化しており、「答え」があるわけではありません。
必要なことは、答えを見つけることではなく、自分たちの考えを「創造」していくことです。
そのためにも、創造的な活動になるようにファシリテーターは「問い」を投げかけていく必要があります。
東京と大阪で展開している、嗜好品を扱う商社とのワークショップをしたことがあります。
テーマは、「新事業の開発」。
参加者全員、もちろん私を含めて答えがわからないテーマです。
ファシリテーターの私は、参加者メンバーの頭の中を出し切るために、
問いを投げかけるコトに徹しました。
色んな角度から問いを投げかけていくうちに、
議論が深まり、テーマが前に進んでいくきっかけとなる問いのパターンが
見えてきました。
問いのパターン5選
①本質を聞く
「そもそも、それってどういう意味ですか?」
②根拠を聞く
「それは、なぜですか?」
③期待効果を聞く
「それが実現したら、どのようなことが起こりますか?」
④類似を聞く
「似ているものは、なんでしょうか?」
⑤逆を聞く
「真逆のものはなんでしょうか?」
この5つのパターンは、どのようなテーマでも活用可能です。
実際現在もこのパターンをきっかけに議論の深堀を行っています。
ちなみに、嗜好品を扱う商社との「新事業開発テーマ」で生まれたアイデアが無事に
事業化し、現在も継続しています。
構造化の技術
構造化のスキルが必要な理由は2つあります。
理由①:【議論中】どのような意見が出ているのか?を明確にする
議論の現在位置を参加者たちと共通理解をするために行います。
理由②:【議論後】どのような意見が出たのか?を明確にする
議論終了後、ディスカッションされた内容について、参加者全員はもちろん、
参加していない関係者に対しても共通理解をはかるために行います。
議論の最中に、話があっちにいったり、こっちにいったりして
「いったい今は何の話をしていたのだっけ?」
といった状況に陥ったことはないでしょうか?
私は何度もあります。。
長時間会議をしていても、
本題とはズレた話をする時間が長くなってしまい、
結局何も決まらなかった、といったことも多々経験してきました。
ある程度の雑談は必要ですが、
決められた時間に会議の目的を果たすことが最優先事項です。
そこで、より意識をもってはじめたことが
「ホワイトボードを使って、議論の見える化を行うこと」
です。
諸先輩方や、自分よりも議題について詳しい方々の前に立ち
ホワイトボードを板書していくことは、勇気がいりました。
とくに、話が専門的なことに及ぶと、
自分に板書が出来るのかどうかが不安でした。
結論として、板書と専門知識は関係ありませんでした。
なぜならば、基本「発話されたこと」を板書していくからです。
板書をする、という意識の元いると、よく話を聞くようになります。
すると発話と発話の間にある関係性などが見えてきて、初めて聞く専門的な用語なども
意味が捉えられるようになります。
関係性を捉えて、議論を見える化したものは
その場のアウトプットとして使えます。
そのアウトプットが、議論のまとめとなり
決めるべきコトを決まるための根拠になったり、
その場に参加出来ていない人との共通理解を助けてくれます。
ファシリテーターの知識として必要なのは、
テーマにおける「専門知識」ではなく、
「議論を見える化するための技術」です。
構造化とは、まさしく議論を見える化するための技術です。
ここでは、日々実際の現場で使っている
構造化するために使える道具を紹介します。
下記の4パターンを意識すると、
どのようなテーマにおいても活用することができます。
構造化4つのパターン
【ツリー図】
発話内用の関係性を図示するために使います。
因果関係や話のレイヤー(商品のことをいっているのか?業界のことをいっているのか?
など)で整理をして、議論の内容を全体俯瞰します。
すると、
話切れていないところはないか?
逆に同一箇所をおりすぎていないか?など
議論のヌケモレをチェックすることができます。
【サークル図】
発話の中から共通項を探していくときに、活用します。
板書のコツは、「発話をしっかりと書き写す」ことです。
そこからはじまっていきます。
私の場合、ホワイトボードの左上から、
描いていきます。
まずは、深く考えすぎず、発話の順番にキーワードを
書いていきます。
ひとつひとつの発話を記載していくと、発話間で共通してあらわれる
キーワードがでてきます。
共通項として紐付くキーワードを持っている発話を集めて群にする、
【マトリクス図】
マトリクスは、2つの要素を縦と横に並べて整理をする方法です。
情報の整理にも、もちろん使えますが、アイデアの強制発想にも使えます。
まずは、ホワイトボードなどを活用して、発話をひとつづつ記載していきます。
ある程度の発話量になると、発話と発話の間に関係性が生まれてきます。
その関係性をどのように整理をすると、わかりやすか?の視点で
構造化4つのパターンを照らし合わせて、最も活用しやすいものを使用するイメージです。
合意形成の技術
ファシリテーションスキルのなかでも最も難しく、しかし活動を前にすすめるためには最も大事なスキルが合意形成のスキルです。
議論をしたことや、アイデアを出し合ったことに対して、どれを具体的に進めていくか?
の決定を促していきます。
私は、商品開発のワークショップを行うことが多くあります。
とくに、ここ5年で急増してきたイメージです。
ワークショップを行うと、数多くのアイデアが出ます。
アイデアが出るためのファシリテーションよりも
アイデアを選ぶためのファシリテーションの方が難しいです。
なぜなら、参加者全員に進めたいアイデアがあり、またワークショップのオーナーも思惑があり、
さらに市場環境など外部環境と実施企業のビジネスモデルといった内部環境など
多方面から考えていかなくてはならないからです。
はじめ、私は「投票形式」でアイデアを絞りこんでいました。
参加者が積極的に進めたいアイデアを具体的に進行していくための段取りをとっていました。
しかし、商品化される前にペンディングになってしまったり、
商品化されても、すぐに終売になってしまったりと失敗も多くありました。
失敗の原因は、投票は「参加者の思い」というひと方向の視点しかなかったからです。
そこから「評価基準」を使った意思決定を意識するようにしました。
判断軸を定め、判断軸に沿って合意形成を作っていく方法は、多面的に判断でき、
結果、商品化率とヒット率ともに向上傾向にあります。
何度も実施してきた合意形成フェーズ。
とくに、可能性のあるアイデアを見定められると感じたツールを3つご紹介します。
合意形成3つのツール
【メリット・デメリット法】
選択肢をすべて並べて、それぞれのメリットとデメリットを抽出します。
そこから、「メリットが一番大きい」「デメリットが一番小さい」という基準のもと
選択肢の絞り込みを行います。
【ペイオフマトリクス】
実現性を横軸に、収益性を縦軸におき、選択しをプロットしていきます。
実現性は時間軸とも連動していきますので、選択肢の優先順位をあきらかにすることができます。
実現性が易しく、収益性が高い選択肢から進めていくことになります。
【意思決定マトリクス図】
ペイオフマトリクス図では評価項目が足りないときに、使用します。
いくつかの評価項目をつくり、重要度に応じて「重み」をつけていく方法です。
合意形成の目的は、テーマを前に進めることです。
今回ご紹介した3つのツールは、どの業界でも再現性高く活用できます。
そして何よりも前に進めるためには、権限の委譲やプロジェクトオーナーの参加など、
具体的決裁ストーリーを想定することも大切になってきます。
まとめ
■2つの考え方:「課題の設定」「課題の解決」
■課題の設定3つのスキル:「あるべき姿の設定」「現状の把握」「課題の設定」
■課題の解決4つのスキル:「場の雰囲気をよくする」「思考と言葉を引き出す」「構造化」「合意形成」
-「場の雰囲気をよくする2つのポイント」:①話しやすい空気をつくる②前向きな空気をつくる
-「思考と言葉を引き出す」:5つの質問パターン
-「構造化」:議論の見える化する4つのパターン
-「合意形成」:合意形成3つのツール
ファシリテーションスキルについて記載してきたことのまとめになります。
今回ご紹介したスキルは、全ての仕事においても重要だと思っています。
少しでも、この記事が仕事を前に進めるために役立ったら嬉しいです。
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