この記事は、中小企業診断士の学習をしているけれど
・なかなかモチベーションがあがらない
・目の前に地道な勉強に、目的がブレそう
・膨大な勉強時間も、資格を取れないと意味がないのではと不安になる
といった方に向けて、勉強の「モチベーション」と成果に結びつく「思考力」
が身に付く本をご紹介します。
中小企業診断士の勉強は、 勉強しながら普段の仕事のレベルを上げてくれます。
結果に焦点が行きがちな資格の勉強において、
プロセスにも価値のある、素晴らしい資格だとおもいます。
事実、私自身も中小企業診断士の勉強をはじめてから
俯瞰で仕事を見れるようになり、成果につながっていきました。
しかし、1次試験7科目、2次試験4つのペーパコンサルティング試験は
出題の範囲が広域、出題にの深さも深く
取得するまでに非常に時間がかかってします資格です。
私も3年ほどかかってしまいました。
勉強期間中は山あり谷ありです。
なかなか成果が出なかったり、勉強の時間がとれなかったり、
やる気が落ち始めてきたりと、様々な障壁が立ちはだかります。
そんなときに、もう一度勉強に向かう気持ちにさせてくれるのは
自分の力がついている、という実感です。
本日は、
・学んだ知識をどう活かしていくのか? ・勉強を自分の成長とどう結び付けていくのか?
という答えを出してくれる書籍を10冊紹介します。
【中小企業診断士の勉強に役立つ】思考力を高めてくれる本10選
①「自分のアタマで考えよう」ちきりん ②「具体と抽象」細谷功 ③「問題解決の全体観」中川学 ④「V字回復の経営」三枝匡 ⑤「ストーリーとしての競争戦略」楠木建 ⑥「独学大全」読書猿 ⑦「右脳思考を鍛える」内田和成 ⑧「新しい経営学」三谷宏治 ⑨「ビジネススクールで身に着ける 会計×戦略思考」大津広一 ⑩「才能をひらく編集工学」安藤昭子
それでは、一冊づつご紹介します。
①自分のアタマで考えよう
中小企業診断士にとって一番大事な仕事の道具は?
と聞かれたら、それは「思考力」であると答えます。
その思考力とは、「自分の頭で考えること」です。
お客様の、現状を見て、問題点を抽出して、課題を設定し、解決策を打ち出して
実行を支援していく。
全てのフェーズにおいて、必要になってきます。
では、自分の頭で考えるとはどういうことなのか?
その答えと、具体的な「頭の使い方」を教えてくれるのが
本書です。
ちきりんさんは、元外資系のコンサルタントで
ご自身のブログで世の中の事象についての自分なりの考えを発信されています。
その中で「考える」とはどういうことか?を非常にわかりやすく開示してくれています。
「考える」とは?
■いったん「知識」を分離する
■「意思決定」のプロセスを決めること
■「なぜ?」「だからなんなの?」と問うこと
■あらゆる可能性を探ること
■縦と横に並べて比較してみること
■判断基準の取捨選択をすること
■レベルをごっちゃにしないこと
■自分独自のフィルターを持つこと
■データはとことん追いかけること
■視覚化で指呼を深化させること
■思考は「思考の棚」に整理すること
とくに、一番最初の知識を分離する
というのは考えるための基本となるキーワードです。
ここで知識を「過去の事実の積み重ね」
思考を「未来に通用する論理の到達点」
と定義しています。
知識は大切ですが、知識があるからこそミスリードされてしまうことも
あります。
自分自身、診断士の勉強をしている初期は、とにかく覚えるコトが
多すぎて、ただただ暗記に走る時期がありました。
しかし、勉強の時間は多くなるのに、全く身についている実感がなかったです。
それは、自分の頭で考えるという作業をまったくしてこなかったからだと今ではわかります。
試験でも、実務の場では、教科書的な知識がそのまま使えることが少ないです。
当然試験での問題も、知識をそのまま問われることはまずありません。
診断士の勉強は自分の頭で考えることを鍛える試験でもあると思います。
思考しているか?ただの作業になっていないか?
それをチェックする方法をご紹介します。
この方法を行い、劇的に成果につながっていきました。
【ノート記述法】
①いまから行うカテゴリについて、「どのような内容か?」を
ノートに書いてみる
②実際にテキストや講義などを通して学習する
③ノートに学んだことを、何も見ずに記述する
①で、自分なりの仮説をたてます。
仮説を立てることにより、②のテキストや講義もただ流して聞くだけでなく
自分の仮説と照らし合わせながら受けることにより、内容の理解が進みます。
最後に③学習した結果をもう一度書き出すことにより、自分のなりの整理を
行います。
どのステップでも自分の頭で考えながら学習を進めるので、
理解が自分自身のものになっていきます。
②具体と抽象
優れた経営者は、抽象思考と具体思考の往復をしていると言います。
・経営やマーケティングをはじめとした理論と、実務の結果が結びついている人
・ひとつひとつの事象を、個別で終わらせずパターン化して、応用活用している人
上記の思考と行動は、抽象と具体の双方からの思考が可能にします。
では抽象と具体とは何か?
抽象と具体をどのように往復するのか?
を示してくれるのが、本書です。
抽象
・直接目に見えない
・「実体」とは一見乖離
・分類してまとめて対応
・解釈の自由度が高い
・応用が利く
具体
・直接目に見える
・「実体」と直結
・ひとつひとつの個別対応
・解釈の自由度が低い
・応用が効かない
ビジネスにおける抽象化の一番上は、「利益の拡大」
中小企業診断士試験の7つの科目と、それにひもづく単元は、
利益の拡大を目的に具体化されていったものです。
勉強をしながらも、勉強している要素から
利益にいたるプロセスを考えることで、「具体と抽象」を往復する
訓練が出来ます。
③問題解決の全体観
仕事とは何かしらの問題を解くことだと言えます。
中小企業診断士の資格は、問題解決の
プロフェッショナルである証です。
問題解決のための道具は、ロジカルシンキング。
この本では、問題解決の型を学びながら
ロジカルシンキングという道具を手に入れいれる
足がかりとなります。
傘空雨、MECE、ロジックツリーなど
基本的なことを、どのような場面で、そのように使っていけば良いのか?
が、非常にわかりやすく書かれています。
問題解決の型を学ぶには、この一冊で言いという
コンサルタントも結構います。
④V字回復の経営
コンサルタントである主人公が、不況に陥る企業を再生させていく
姿をストーリー仕立てで描写しています。
この本を読み進めると、
学んでいる経営理論やフレームワークを実務の場で
どのように活用するのか?がわかります。
将棋の羽生善治さんは、定石を深くところまで理解していると言います。
飛び道具に飛びつかず、基本を自分のものにすることで
どのような場面でも応用が効き、長く第一線で活躍されています。
本書で出てくる、理論も基本的な物です。
しかし、それを状況に併せて、最適な形で活用するには
深い理解がいります。
経営やマーケティングの理論は日々新しい概念が流入してきます。
新しい概念に浅く飛びつき続けるよりも、基本を深く理解が必要だと
思わせてくれます。
中小企業診断士の試験で出てくる理論は、
数多くの理論の中から選りすぐられた、基本かつ決定版の理論です。
学んだ知識を現実でどのように活用するのか?
ということがイメージできます。
中小企業診断士の勉強で身につけた知識は、
明日の仕事で活用をすることで身についていきます。
自分も、
診断士の勉強で身につけたフレームワーク、ECRSで
業務改善を行い、自部門の生産性向上を達成しました。
製造の現場ではなかったのですが、普遍的な理論は
応用が可能だということを身をもって理解できた経験です。
⑤ストーリーとしての競争戦略
戦略とは、動画である
戦略とは、差をつけて、つなげることである
戦略についての本質的でわかりやすい言葉で綴られています。
良い戦略は、「お話」としても、聞いていて面白いといいます。
中小企業診断士として、お客さんの戦略立案を支援する際に参考となるのはもちろん、
自分自身の戦略をたてるときにも役立ちます。
とくに、戦略と謳われながらも、ToDoリストになっていることが多々あります。
「利益拡大」というゴールに向かい、どのようなストーリーを描いていくのか?
という「動き」を持ったものが戦略です。
そのときに重要なのが「因果律」です。
因果律とは〇〇すれば■■になる、という原因と結果をセットで示すものです。
この因果律のセットを、いくつ持っているか?
適切な場面で、効果的に当てはめることができるか?が
良い戦略を描くためには必要になります。
診断士の仕事も、お客様の利益を獲得するためのストーリーを描くこと
といえます。
「差を作りつなげる」「因果律」の考え方は非常に大切になってきます。
この因果律の考えが、1次試験対策で学ぶ理論になります。
そしてその因果律を状況に併せて、適合させる力を試されるのが
2次試験です。
⑥独学術大全
独学についての本です。
目標の立て方から学びかたまで、この本に書かれていることが
全てではないか?と思うほど網羅的に記載されています。
中小企業診断士の勉強は、やることが多く、長期にわたります。
そして山あり谷あり、好調なときも不調なときも出てきます。
不調なときの打開策として、やり方を変えてみる
というのも大きな手です。
勉強の方法についての辞典的な書籍なので、いろんな手法が載っています。
状況に併せて試すことで、打開策になったり、自分のスタイルをつくることを
助けてくれたりします。
この中で試してみて、効果的だった手法をご紹介します。
リスト化する
毎日行った勉強をチェックリストにするだけで、積み重ねを実感できて
モチベーションの向上、自信にもつながっていきます。
振り返る
計画を立てる人は多いけれど、計画をちゃんと振り返る人は少ないです。
そして振り返りを次にアクションに移せる人はさらに少ない印象です。
トライアンドエラーやPDCAを小さく難解も回すことの重要性
は近年とくに言われています。
やり方に固執せず、やり方を変更して、振り返ってみる。
それだけで、かなりの成長が見込まれます。
⑦右脳思考を鍛える
世の中には情報があふれていて、多くをキャッチアップしようとすることは
インプットに時間がかかりすぎます。
仕事におけるインプットの目的は、アウトプットです。
インプットの労力を最小限に抑えて、アウトプットを最大限にする
必要があります。
この本は、情報を「集めるな」「整理するな」「覚えるな」
と言います。
キーワードは「興味」です。
日常生活していて自分の「興味」にひっかかるものだけ、脳にレ点をつけておく。
レ点は、情報を注意に変換しておくと言うイメージ。
そしてそのまま脳内の引き出しに入れておく。
著者の内田氏は、常時引き出しのテーマが20くらいあるという。
自分の中で気になるテーマはいくつか選んで、
頭の中に引き出しをつくること
が情報収集&整理の全て。
しんぷるだからこそ、今から実践できる。
診断士の勉強をしていると引き出しは、7つ教科に関係するテーマが
入ってくると思います。
すると、日常の生活でも興味のアンテナが情報をキャッチして
その情報に触れ考えることが理解を深めます。
そして、資格の勉強に役立つというコトだけではなく、
中小企業診断士の科目は、そのままビジネスのメインカテゴリになります。
まさに、アウトプットの効果を最大化する、インプットの心構えが
得られる本になります。
頭の中に、関心のレ点をつかておくだけ。
あとは、勝手に情報が集まってくると言います。
⑧新しい経営学
経営の要素を
・ターゲット ・バリュー ・ケイパビリティ ・収益モデル
という4つのシンプルな要素にまとめています。
各要素の内容とそれぞれの関係性を把握することで、
企業経営の全体感がわかります。
仕事のカテゴリは、ざっくりと分けると
上記4要素のどこかに当てはまります。
中小企業診断士の仕事は、4つの要素と関係性をより良くするための
知識を提供し、アクションプランを設定、実行に併走しながら
結果をふりかえる仕事といえます。
働きながらの中小企業診断士の勉強の利点は、
インプットとアウトプットが同時並行で出来ることです。
そして、一番効果的なインプットは、アウトプットすることです。
学んだ知識を、「仕事でどのように活かすか?」という視点を入れるだけで
理解度がグンと上がります。
⑨ビジネススクールで身に着ける 会計×戦略思考
会計に対して、「会計用語の暗記」「会計ルールの暗記」「細やかな決算処理」といった固定観念をもつ人ほど、会計に嫌悪感や苦手意識を抱きます。
中小企業診断士の勉強をはじめたばかりの自分もそうでした。
会計の数値を企業活動と結びつけて考えることが出来る人ほど、会計を手段として上手に使いこなすことが出来ています。
会計を
WHAT
・会計数値の作り方
・会計用語の暗記
・会計ルールの記憶
・正確な仕分け作業
だけでなく
WHY
・会計数値の読み方
・経営言語としての活用
・経営の意味合いを考察
・問題解決への発展
をしっかり考える重要性を問いています。
ある事象(What)
↓WHY:なぜそうなのか?
本質的な原因の解明
↓So What:だから何がいえるのか?
本質的な経営の意味合いを導出
↓HOW:どのように解決していくのか?
意思決定・問題解決のアクション
という流れになります。
そのために必要なのが、
会計力(定量分析):会計数値を理解し読み取る力
・損益計算書(PL)
・貸借対照表(BS)
・キャッシュフロー計算書
戦略思考力
・企業が置かれた経営環境
・業界の特性
・企業が採用する経営戦略
上記2つの力を相互に往復しながら考える力です。
その往復の仕方を解説してくれるのが、
「会計×戦略思考」です。
PL、BSの具体的な読み解き方についても記されており、
そのまま実務での活用が可能です。
PL
マトリクスで読み解く
横軸は、本業か本業でないか
縦軸は、毎年行っている経常的な活動か、今年限りの特別な活動か
BS
を読み解く3つの基本方針
①大局観を持つ:BSは固まりで読む
②優先順位をつける:BSは大きな数値から読む
③仮説思考を貫く:BSは考えてからよむ
BSを読み解く、具体的STEP
STEP1:企業を想像する
STEP2:仮説を立てる
STEP3:仮説を検証する
仮説に役立つフレームワーク
①売上/利益は成長しているか?
②粗利は高いか?
③販管費は多いか?
④研究開発費は多いか?
⑤利益率は良好か?
⑥現金は多いか?
⑦売り掛けの回収は早いか?
⑧在庫の量は多いか?
⑨設備の規模は大きいか?
⑩株式や債券の保有は多いか?
⑪買い掛けの支払いは早いか?
⑫借金は多いか?
⑬資本金は多いか?
⑭利益剰余金は多いか?
ビジネスの現場でもよく使う、
「5フォース分析」
「バリューチェーン」
「4Pのマーケティングミックス」
それぞれのフレームワークと、会計を組み合わせて考えるには
どのようにすれば良いのか?
という視点をここまで具体的に書いている本はないと思います。
個人的にここは何度も読みながら実践したいと思う箇所です。
自分の働きと会社の成果を結びつける、
そんな視点にたったときでも役立つ本だと思います。
⑩才能をひらく編集工学
情報と情報をどうつないで、価値を創っていくか?
そのための具体的な技法が「編集工学」です。
編集工学は、
松岡正剛により創始された取り組み。
新たなものの見方やそこにある方法を発見していくことを通して、
一人一人のなかに思い思いに引き出されていくまだ見る潜在力が
編集力。
編集の仕組みを明らかにして、人々と社会の力としておうえんしていこうとする方法論の体型化を成し遂げました。
編集工学のなかに「3A」という考えるための道具があります。
3A:
アナロジー(関係性/選択制/単一性)
アフォーダンス
アブダクション
アナロジー
・似ていると思うこと
・借りてくること
・当てはめること
思考のきっかけをつくったり、
視点を広げるさいに役立ちます。
ブランディングの仕事をしていると、主にデザイン領域で活躍する
クリエイターの方々と協働します。
いつも関心するのは、「例え話」のうまさです。
目の前のテーマと遠いところから共通項をもつ事象をもってきて
本質をあぶり出していく。
アナロジーは、発想のための道具ともいえますが、
本質的な共通項を見つけ出す行為は理解の解像度を上げてくれます。
勉強でも仕事でも、いまひとつ理解ができないことにぶつかったら
他のことに置き換えて考えることで光が見えてくることがあります。
アブダクション
ブレイクスルーを実現するために、
今見えていないものを想像させる手法
1:驚くべき[事実C]が観察される
「おや?」と思う
例)おや?なんでこんなところに魚の化石が
2:しかし[説明仮説H]が真であれば、[事実C]は当然の事柄だろう
「説明仮説H」だと考えれば、[事実Cもうなづける]
この一帯の陸地はかつて海だったと考えれば、魚の化石があってもうなずける
3:よって、[H]が真であると考えるべき理由がある
そうか、[H]ということか
そうか、このあたりは海だったのか
できの良い仮説
1:もっともらしさ
最も理にかなった説明を与えてくれる
2:検証可能性
実験的に検証可能であること
3:取り扱い単純性
より単純な仮説であること
4:思考の経済性
時間やエネルギーが節約できるものであること
アフォーダンス
環境にの側にあって、行為を通して発見される意味のこと
家族でのハイキングの途中に大きな岩があった。
お父さんにとっては「腰かけるもの」
お母さんにとっては「お弁当をおくもの」
子どもにとっては「よじ登るもの」
主体(この家族)と環境(岩)の間に意味が生じるという考え方です。
休みたい、お弁当を出したい、遊びたいという主体の探索センサーと
岩が提供する行為への可能性が出会うことによりピックアップされるものが意味です。
まとめ
中小企業診断士の勉強は、プロセスにも意味があります。
そのことを実感するには、学んだことが身についている実感が必要です。
知識を使える知恵にするためにも、「自分の頭で考える」回数を増やす必要があります。
今回紹介した本には、「考える」ためのヒントが満載です。
試験の範囲が広く、働きながらの挑戦だと勉強に費やせる時間も限られてきます。
寝る前の30分や移動時間など、隙間時間も活用しながら
診断士の勉強と並行して読むことで、成果にもつながってきます。
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