「人と交渉することに、苦手意識がある」
「商談が苦手で、なかなか受注に結びつけることができない」
「そもそも交渉をしよう、という気すらおきない」
このようなことを考えたことありませんか?
この記事では、
「交渉についての考え方」
を、ご説明をしながら
相手とWinWinな結果をつくっていく方法を記載したいと思います。
私自身も交渉という言葉には、なんとなく人を説き伏せて自分の意見を
押し通すような先入観があって苦手でした。
しかし、ハーバード流交渉術という本を読み、
精神論や勢いではなく、ひとつの「技術」としての交渉術の存在を知り
その考え方自体が誤っていたことに気がつきました。
交渉は、大小関係なく日々行われております。
交渉について考えることは、人とのコミュニケーションについて考えることでもあります。
交渉とはなにか?
交渉= 共通する利害と対立する利害があるときに、合意に達するために行う相互コミュニケーション
人は生活をしながら、日々、交渉をしています。
「営業で得意先に自社製品を売り込む」ことも交渉です。
また、連休があったとき
お父さんはキャンプに行きたい、子どもは遊園地に行きたい
とします。
キャンプに行くのか、遊園地に行くのか?
はたまた、海など違う場所に行くのか?
を決めることも、交渉です。
交渉とは、
共通する利害(例でいくと、次の連休にどこかに遊びに行く)と
対立する利害(お父さんはキャンプに行きたい、子どもは遊園地に行きたい)
があるときに合意に達するために行うコミュニケーションだと言えます。
原則立脚型の交渉とは
生活をしていると、対立する利害が本当に多いことに気がつきます。
ビジネスの上で
「もっと費用を抑えられないか?」
という言葉は、毎日のように聞きます。
これは、
「高く売りたい」自社と
「安く買いたい」お客さん
との間で対立しています。
逆に、自分がお客さんになったとき。
何かを買おうとしたときに、
「高い」と感じる場面は、お店との利害が対立していますね。
※
今住んでいるところの「家賃が高い」と思っていますし、
最近値上げのラッシュで高いと感じることが増えてきました。
そのように、利害の不一致が起こるときに交渉をします。
私自身も、家賃の交渉をしたことがあるのですが、撃沈しました笑
交渉には、ハード型とソフト型と原則立脚型の3つの型があります。
ハード型:自分の意見を通すこと第一に考えて、極端な立場をより強情に維持する
→強引な態度は同じく強引な反応を呼び、当人もその反応に消耗し、対策も枯渇
ソフト型:個人的な対立を避けたいので、合意のために進んで譲歩する
→有効裏に合意に達することを臨んでいるのだが、結局利用されて苦々しい気分になる
私は、家賃交渉時にハードとソフト2つの交渉手法を取っており
結果臨むべき結果が得られませんでした
最初は強引に家賃を下げることを主張したのですが、
やはりプロの不動産屋も一向に下げてくれない。
[ハード型]
結果、「出て行け」と言われるのが怖くなり、逆にちょぴっと値上げされましたが、
合意しました笑
[ソフト型]
原則立脚型:
双方の主張の利点に焦点を合わせようとするもの。
→できるだけ共通の利益を見出し、利害が衝突する場合は、どちら側の意志からも
独立した公正な基準に基づいて結論を出す。
まさに、交渉術の基本スキルとは、「原則立脚型」になります。
・相手側の立場に立って、相手の利点も考えることをしていれば、、、
・家賃を下げること、という一点の選択肢だけでなく、他の選択肢も視野に
入れていれば、異なる結果になったのでは
家賃交渉の失敗の何が具体的にいけなかったのか?
どうすれば良かったのか?
も。この原則立脚型の交渉術により説明ができます。
では、具体的にはどのようなスキルなのか?
下記、記載していきたいと思います。
原則立脚型交渉スキル:4つの基本要素
原則立脚型交渉は、賢明な結果を効果的かつ有効裏にもたらすべく設計された交渉方法です。
4つの基本要素があり、ほとんどの状況において活用可能です。
①人:人と問題を分離して考える
②利害:立場でなく、利害に焦点を合わせる
③選択肢:行動について決定する前に、多くの可能性を考え出す
④基準:結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調する
①人:人と問題を分離して考える
人は強い感情の持ち主で、物の見方や感じ方が異なり、完全な意思疎通は難しいです。
自分と同じ人は一人もいないので、当然かもしれませんが。
意思を通すっためにお互いを攻めるのではなく、一緒に問題を攻めるような
関係性を目指すことが、交渉を上手くすすめるポイントです。
人の問題は3つのカテゴリにわけられます。
①認識の問題:認識が異なることによっておきる
何の気なしに言った言葉で相手を傷つけてしまった経験ありませんか?
「そんなつもりで言ったわけではないのに!」と自分は思っても
相手にとっては違います。
[解決策]
・客観的事実に頼らず、相手の頭の中を重視する
・相手の立場にたって心情を想像する
・悪い風に相手の意図を推測しない
・自分の問題を相手のせいにしない
・お互いの物の見方について話し合う
まずは、「相手の立場に立って考えること」が重要です。
これは交渉にかぎらず、人と行動をともにする時は必須の考え方だと言えます。
②感情の問題:人は感情的になってしまう生き物
相手の感情をコントロールすることは、基本的に不可能です。
感情問題は、人間の本能に直結する部分でもあるが故に解決が最も難しいところかもしれません。
そんな感情問題にも対策があります。
相手の感情問題を解決する5つの方法
①自分と相手の感情を認識して、理解する
言葉そのものにいちいち反応せず
事実なのか?感情なのか?を冷静に判断する視点を常にもっておくことが大事です。
自分の感情をしっかりと認識するには、
昔、ムーたちという漫画でよんだ「セカンド自分」という考え方が
役立ちます。
※セカンド自分:自分を客観視するためのイメージ
上から、自分含めた自分の状況を俯瞰する
②感情は隠さず表現する
感情をしっかり認識する必要はありますが、抑え込む必要はありません。
これは、「攻撃的になれ」という意味では、もちろんなく
事実に対して、自分はどう感じたのか?ということをしっかりと
相手に伝えるコトが大事という意味です。
相手の感情を理解することも大事ですが、自分の感情を理解してもらうことも
大切です。
③相手の言い分をすべて言わせる
言おうと思っていることを言えないと、不満が溜まっていきます。
なので相手の「言いたいこと」を全て言わせることが必要です。
自分の言い分と食い違っていたり、行き過ぎた言動に口を挟みたくなる
かもしれませんが、そこはグッと抑えます。
自分に置き換えてみて、結果全ての言い分が通らなかったとしても
言いたいことが全て言えると、すっきりしますよね。
後の交渉がスムーズになります。
④感情の爆発には反撃しない
「言いたいことは全部言ってもらう」とはいえ、感情的な爆発には
いちいち反応しません。
問題とは関係のない事項まで持ち出したり、ときには人格を否定してきたり
することもあるかもしれませんが、
「人と問題を切り分ける」という原則にもあるとおり、そこはクールに
対応していきます。
⑤感情問題を解決する心配り
ちょっとした手土産などを渡すことです。
お詫びの菓子折が伝統として残っているのは、わけがあるのです。
みなさまも「スイーツ」が、彼女や奥さんの機嫌を少し良くした経験ありませんか?笑
もちろん、それが全てではありませんし、スイーツばかりに頼るのはおかしいですが、
ネガティブ感情状態を解きほぐす手段のひとつにはなります。
③意思疎通の問題:きちんと相手と意思疎通が出来ているか?
相手と意思疎通できているかを確認することは、交渉を適切に進める上で必須の考えです。
「こいつは、自分の思いをわかっていないな」
と思ったら、話をする気にもならないはずです。
逆もまたしかり。
では、どのように意思疎通をつくっていくのか?
4つのポイントから見ていきます。
①自分は理解されていると、相手に思わせる
ますは相手の話をよく聞くことです。
ただ聞くだけではなく、合づちや
「〇〇はこういうことですか?」
といった質問を挟むと、より効果的です。
相手も、自分を理解してくれようと思っていると感じ
より一生懸命コミュニケーションをとろうとしてくれます。
②拒絶反応を無くす言い方
どうしても、相手の言い分に批判をしたいとき
主語を自分にすることにより、拒絶反応を薄めることが出来ます。
「あなたは約束を破った」
と言われるより、
「私はがっかりしました」
と言うほうがコミュニケーションの齟齬が生まれにくいです。
相手は、約束を守ったつもりなのに、決めつけられている印象を受けるかも
しれませんが、
自分を主語にしたときは、相手はそれを否定することは出来ないからです。
④余計なことは言わない
最後に、余計なことは言わないようにしましょう。
とくに、交渉がまとまりかけてきた終盤に、気が緩んで失言をしてしまうことで
台無しにしないようにしましょう。
私自身もそうですが、たとえ気を付けていても、ちょっとした失言は
言ってしまうものです。
対策として、
頭に浮かんだことをすぐに口に出すのではなく、一歩立ち止まって発言を吟味
する行程を踏むようにしました。
②利害:立場ではなく、利害に焦点を合わせる
組織や属性など、人に付随する立場を切り分けて、利害を中心に考える。
ここが交渉術における一番のポイントかもしれません。
自分の立場に、交渉の焦点を合わせると、その背後にある利害
という本来の目的が薄まってしまいます。
会社を代表する商談などは、組織を背負っていると
起こりがちですよね。
利害に焦点を当てるとは、
自分も、相手も、「本当に欲しているのはなにか?」
ということを明確にする必要があります。
具体的な考え方を、書いていきたいと思います。
●表面的な意見、要望の奥にある、「本音」を探す
「自分の家のとなりに、建物を建てることをやめさせたい」
という要望の本音は
「今までの景観と静けさを壊したくない」
ということかもしれない。
「この仕事は、うちの部署でやる仕事ではないので受けたくない」
という要望の本音は
「仕事の負荷を少しでも減らしたい」
ということかもしれません。
本音こそが利害です。
そして、その利害(=本音)が人を動かす。
利害は表の主張に隠れた動機ともいえるかもしれません。
●対立する利害の背後に共通する利益が隠れている
利害(=本音)を、綿密に分析をすると、
対立する部分だけでなく、共通する部分も出てきます。
先ほどの
「この仕事はうちの部署でやる仕事ではない」
これは実際に言われた言葉なのですが笑
本音としての「負荷」について掘り下げました。
・MTGに出席する負荷
・資料を作る負荷
といったような負荷のマイナスイメージだけでなく
・●●という商材を売ることを優先順位にしたい
という本音を想定しました。
私は、アイデアが欲しかったので
「資料はこちらで用意する、●●という商材との関係するテーマになる
のでアイデア出しにだけ参加してくれないか?」
という提案をしたら、
そういうことならと、資料まで作ってくれました。
●相手の立場に立って考える
表に出てくる要望や意見に対して、相手の立場に立って、
「なぜ?」と問うてみることが、「本音」を明らかにする方法です。
先ほどの例でいうと、
・仕事の負荷低減
だけでなく、負荷低減の目的である
・●●という商材を売ることを優先順位にしたい
ということが理由になっていました。
●双方ともに複数の利害があることを理解する
たいていの場合は、自分にも相手にも複数の利害が存在します。
たった一つの目に見える利害に固執をせず、視野を広く持つことが重要です。
利害を書き出して、リスト化することで見える化します。
実際に、A4の紙に、自分の利害と相手の利害を書き出すことをしています。
そのときに、「なぜ、その利害を求めるのか?」を2回ほど自問すると
本音が見えてきます。
そして、共通の利害を見つけていきます。
③選択肢:行動について決定する前に、多くの可能性を考え出す
相手を目の前にして、決定を下そうとすると、視野が狭められます。
問題が重要であればあるほど、自由な考えが出来なくなります。
すると、正しい考え方はひとつしかないと考えてしまいます。
解決策として、時間や機会を取り、双方に共通の利益を探しだし
相違する利害を創造的に調整できるような案を考え出す作業が必要です。
選択肢を狭めてしまう4つの障害を引っかからないようにすることが
創造的な選択肢を作り出す方法です。
①「早まった判断」をしない
複数の選択肢を出すことは簡単ではありません。
考えることを放棄して決めつけたくなってしまいます。
機嫌が迫っていたり、緊張している交渉の場だと、なおさら難しいと言います。
極端なことを言ってしまったり、自分の交渉立場を危ういものにするかもしれないと
懸念してしまったり。
一旦立ち止まり、考える時間を取ることが効いてきます。
そして、時間もじっくりととれなくても、
「選択肢について考える」と決めて、1時間でも作ると
早まった判断を避けることに効果的です。
②答えはひとつだけだと思い込まない
選択肢を増やすことにより、現状出している条件の合意が遅くなってしまうのでは?
と考え、最初の案で突き進もうとしてしまいます。
決着を急ごうとすればするほど、数多くの可能性から選び出すという行為を
遠ざけてしまう。
幅広い選択肢を持つことが重要です。
そして、行き詰まっていたら、いったんゼロベースで考えてみることも
効果的です。
③二者択一の考えに陥らない
自分が勝つか?相手が勝つか?の問題にしてしまうことも大きな障害です。
交渉のゴールはWinWinであることを意識して、利益の結合点を目指します。
④自分の利益第一主義をやめる
二者択一の考えになってしまうと、自分自身の利益にしか関心が持てなくなってしまします。すると、現実的な選択肢は出しにくくなります。
自分の利益を得るためには、相手の利益も満たす必要がある。
という原点にたち、相手側の利益に目をむけると、視界が広がっていきます。
選択肢を考え出す4つのSTEP
具体的な選択肢を出し方を説明します。
一言で言うと「具体」と「抽象」を行き来して選択肢を増やしていきます。
①ある具体的な問題について考える
②具体的な問題を抽象化する
③抽象化した問いに対して、どのように解決をすれば良いかを考える
④現実の問題と照らし合わせて、解決策を具体化する
抽象化フェーズの②と③はいわゆる「一般論」になります。
なので、一般的にはどうなのか?
と問うてみることが効果的です。
一部参考になる専門理論なども持ち出す必要があります。
④基準:結果はあくまで客観的基準によるべきことを強調する
最後の段階、合意です。
合意は、お互いの強固な意志に左右されるのではなく、なんらかの公平な基準を
反映するものでなければなりません。
どちらか一方が選び出した基準ではなく、市場や法律や専門家の指標など
公平な基準が必要となります。
そうすれば、一方的に不利な状況に陥ることもなくなり、WinWinの結果に近づきます。
まとめ
交渉術について考えることは、人とのコミュニケーションについて
考えることです。
そして、「自分の利益」と「相手の利益」を結び付けて考えることは
ビジネスの基本でもあります。
WinWinを創るための交渉術、日常のあらゆる場面で使いながら
習得を目指していきたいです。
もっと詳しく知りたい方はぜひ、ハーバード流「交渉術」を読んでみてください。
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