最近よく聞くようになってきた、「エビデンスベースドマーケティング」ってなに?
こんな疑問ありませんか?
中小企業診断士として、企業のマーケティング部の方とお話をしているなかでも、良く聞くようになってきました。
同時にこんな声も良く聞きます。
今まで慣れ親しんできた、STPやペルソナといった手法を全否定しているものなのか?
わたくしの実感としては、そうとも言い切れません。
状況に合わせて、使い分けていくという視点が大事です。
マーケティングの考えのベースには、流派がある
A:コトラーを中心とした多くのマーケターが慣れ親しんだマーケティング理論
B:アレンバーグ・バス研究所を中心としたエビデンスベースドマーケティング
A:コトラーを中心とした多くのマーケターが慣れ親しんだマーケティング理論
STPや4Pといった、Theマーケティング理論です。
代表的な思考プロセスとして
「誰に / 何を / どのように」
というフローはかなり一般化している印象です。
・ターゲティングが重要
・新規より既存
・具体的なペルソナ&深いインサイトから価値を決めていく
B:エビデンスをベースとしたマーケティング
科学的根拠を基本とした考え方で、科書的なマーケティング理論に対しても根拠が薄い場合には疑問を呈します。
この分野の第一人者である、バイロン・シャープ教授は下記のように定義しています。
世の中がどのような仕組みで動き、購買者がどのように買い、市場への介入がどう機能するかに関する、現時点での最良の、信頼できる、一般化された知識に基づいてマーケティングの意思決定が行われる。
そうした意思決定を行うために状況に応じたエビデンスと事実データが用いられる
・未顧客に着目
・顧客の生活文脈を意識する
・カテゴリー
既存ロイヤルに固執するよりも、新規未顧客を意識する
エビデンスベースドマーケティングは、既存のロイヤル化よりも、新規顧客を意識することが上げられます。
ブランドの成長は、浸透率に影響する
まだブランドを購入していない、未顧客をいかに取り込めるか?
この問いがブランドを成長させるために重要になります。
ブランドの成長は、ファンの存在や既存顧客のリピート率というよりも、
新規顧客をどれくらいとりこめたか?という浸透率が重要になるからです。
そのために未顧客に注目をします。
考え方として、
顧客を属性としてカテゴライズするのではなく、生活文脈を捉え、どこにブランドとの接点があるか?をかんがえます。
・甘い物が気になるOL
ではなく、
・昼時、少し甘い物を食べてリラックスをしたい
・夜、仕事も終えて甘い物と一緒にリラックスをしたいとき
など具体的な生活の場を意識していきます。
そして、ブランドが登場する場を一つに限定するのではなく、思いうかぶ「想起」のポイントをいかに増やせるか?が大事になります。
具体的なやり方として、
商品開発のワークショップをするときに、顧客の生活シーンから発想するプログラムを設計しています。
①一日をどう過ごしているのか?
②一日の中で、どのようなときに不を感じるポイントが生まれるか?
③どんなときに満足を感じるか?
とくに、2つめの不を感じポイントと、自社の強みを結びつけられたとき魅力的な価値キーワードが生まれます。
製品ではなく、生活場面で選ぶ理由をつくる
消費者の多くは差別化に気づいておらず、また差別化されていると認識がなくともブランドを選んでいる(アレンバーグ・バス研究所2007)
市場において、顧客のプロファイルはほぼ同じになるという研究があります。
ただ差別化が必要ないわけではなく、差別化だけでは成長できないというイメージです
差別化は2種類あると言われています。
・垂直的な差別化
燃費が2倍になるなど、技術革新をともなう差別化
マーケティングというより、R&D
・水平的な差別化
フレーバー替えなど、視点変革をともなう差別化
垂直的な差別化はマーケティングというよりも研究開発としての意味合いが強くなります。
そして、明確に差別化されたモノが出ても、他者が追随します。
例えば、JINSのブルーライトメガネ、当時革新的だったけれど、(自分も買ったけれど)今はどの企業もラインナップのひとつとして出していますね。
水平的な差別化は、既存顧客のロイヤルティをあげるが新規顧客の獲得には寄与しにくいといわれています。
差別化は商品の特徴でなく、生活場面
例えば
みんなで集まるときは、パーティーパック
ひとりのときは、小分け
というように、製品そのものの特徴だけでなく、生活場面と強く結びつけることで選ぶ理由につながっていきます。
「喉が渇いたときの水分補給」
だと、頭に浮かぶ選択肢は数多くありますが
「風邪のときの水分補給」
だと、ポカリスウェットが頭にうかびますよね。
イメージがあるから買うのではなく、買ったことがあるからイメージが沸く
ブランドイメージ→購買 ではなく 購買経験→ブランドイメージ
ブランドの成長は、
・想起されるか?
・気軽に購買できるか?
の2つのポイントがあります。
気軽に購買できるか?の視点は、チャネルの設計や流通政策などがかかわります。
特に大事になっているのは、「想起されるか?」です。
そして、この想起は様々なタイミングでおこるようにすることがセオリーになります。
想起の向きが大事
狙いにより、「想起の向き」をイメージしてます
「何」からブランドを想起してもらうか? > ブランドから「何」を想起してもらうか?
例)ドレッシング
サラダやとんかつにかけても美味しい
>
安全な材料で作られていて安心感がある
どんなときにつかうのか?まさに生活文脈から想起を起こす方法は、未顧客に有効です。
逆に、安全名材料など、ブランドそのものから想起をつくる方法は、既存顧客に有効です。
まとめ
場合/状況により、最適な「考え方」を使う。
・コトラーを中心としたマーケティング理論
・アレンバーグ・バス研究所を中心とした、エビデンスベースなマーケティング理論
エビデンスベースドマーケティングが向いている傾向があると思うのは
仕事のフェーズ:
戦略立案などの上流工程
カテゴリ:
日時雑などのプロダクト市場
ブランドの規模:
大きなブランドの場合
上記です。
いままでの基本を再度考え直すきっかけになりました。
さらにご興味がある方は下記の書籍が非常に参考になります
「ブランディングの科学」バイロン・シャープ
「戦略ごっこ」芹澤 連
「未顧客理解」芹澤 連
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