わかるってどういうこと?畑村式『わかる技術』

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・自分は理解力が低いかもしれない、、、
・そもそも、「わかる」って何だろう?

このようなこと思ったりしませんか?

「わからない」って、なんとなく不安な気持ちになりますよね。
ただ、そもそもわかるってどういうことなのだろう?

『畑村式「わかる」技術』という本は、失敗学で有名な畑村氏の著作です。

タイトルの通り、わかるとはどういうことか?を明解に教えてくれます。

【この記事の内容】

・わかるとは
「要素の一致」/「構造の一致」/「新たなテンプレートの構築」

・わかるためのプロセス
「観察」→「抽出事実」→「構成要素抽出」→「構造化」→「試動」→「結果生じる現象」

・わかるための訓練
「ベースの暗記」「数と親しむ」「現地現人現物」

わかるってどういうこと?畑村式『わかる技術』

わかるとは:「要素の一致」「構造の一致」「新たなテンプレートの構築」

わかる=目の前の事象と、自分の頭の中の知識(=テンプレート)が一致する

事象(事実/現象)は、いくつかの「要素」が絡み合い、「構造」を作り上げています。

いくつかの「構造」同士がまとまり、「全体構造」を作ります。

そして、全体構造が「機能」をつくる。

例)トラック

要素:部品
構造:部品が組み合わさってできるエンジン/タイヤ/アクセルなど
機能:動く / 止まる など

世の中の全ての物は、小さなものがいくつか集まって大きな物ができているイメージです。

目の前に起きている事象と自分の中にあるモデル(要素+構造)が一致すれば「わかった」という感覚になります。

モデルは経験や学びから蓄積されて、自分の中にテンプレートができあがります。

日々無意識に、自分のテンプレートとの一致点を確認していることになります。

わかる(テンプレートの一致)ための3パターン

「要素の一致」「構造の一致」「新たなテンプレートの構築」

「要素の一致」

頭の中にある要素のテンプレートと、目の前の事象の要素が一致することです。

例:
リンゴ
要素:味/香り/色/形

「構造の一致」

頭の中にある、構造のテンプレートと、目の前の事象の構造が一致することです。

例:
ジャングルジム

要素:金属パイプ
構造:組み合わせて形にしている

いろんな形のジャングルジムがありますが、ジャングルジムの「構造」がインプットされているので、見ただけでジャングルジムだとわかります。

「新たなテンプレートの構築」

目の前の事象と同様の、「要素」 / 「構造」のテンプレートが自分の頭になければ、「要素の一致」「構造の一致」という理解できません。

新しい事象に触れるときは、うまくマッチするテンプレートがないので最初は「わからない」という感覚に陥ります。

すると、自分がすでに持っている要素や構造を使って新しくテンプレートをつくることで理解しようとします。

例:
シチューをはじめて見る場合

手がかりにするテンプレート:
みそ汁/スープ

理解(新しいテンプレート):
みそ汁やスープと同じように
「液体状のものの中に素材が具として入っている」モノ

わかるためのプロセス:
「観察」「抽出事実」「構成要素抽出」「構造化」「試動」「結果生じる現象」

わかるための3つのパターン
「要素の一致」「構造の一致」「新しいテンプレートの構築」

は、りんご/ジャングルジム/シチューのような形を持ち、静止した状態にあるものを対象にしています。

実際に動いている、動的な現象を理解するプロセスは下記になります。

①「観察した現象」
②「抽出した事実」
③「仮定1)構成要素の抽出」
④「仮定2)構造化」
⑤「試動:外から何らかの刺激を与えてみる」
⑥「結果:生じる現象」

①と⑥が=:仮定1と仮定2が合っている「事実を理解したと思う」
①と⑥が=ではない「わかっていない」

③要素の抽出 / ④構造化 / ⑥試動を通じて、はじめて「わかった」といいます

まず、①「観察した現象」を静止した状態(=②「抽出した事実」)で考えます。

そして③「構成要素の抽出」を行い、その現象がどのような要素から成り立っているのかを自分なりに考えます。

仮定により抽出された要素は、単体よりも他の要素と組み合わさればもっと大きな働きを生み出すという特徴を持っています。

要素同士の結びつきを仮定する作業を行います(④「構造化」)

ある働きをもつ要素同士を組み合わせて別の大きな働きをもつ構造をつくります。

これは、はじめに観察した事象を再現するためのモデルを自分の頭の中につくりあげる作業です。

そして、それが正しいか?を確認するために、刺激を与えて実際に動かしてみます。(⑤試動)

その試動の⑥「結果の現象」が最初に観察したした現象(=①)と一致した場合、その現象がわかったといえます。

例えば、「ヒット商品の現象」も、この考え方で理解することができるのではないでしょうか?

私自身、中小企業診断士として商品開発のご支援を多数実施させていただいております。

ヒットする商品は、どのような要素に分解出来るか?「①」「②」

という問いは常に持ち続けており、自分なりの仮説を作っています。

それは、まさに今ご紹介したプロセスを辿り構築しました。

ヒット商品には、開発者の「思い」と企業の「強み」と生活者の「本音」という要素が抽出できる。「③」

それを、構造化すると、「提供価値」と「アイデア」という要素と組み合わさる。「④」

実際のヒット商品とヒットしなかった商品を比較すると、「思い」「強み」「本音」「提供価値」「アイデア」の要素で説明ができる。「⑤」「⑥」

といったイメージです。

今は、このモデルである程度理解ができますが、あるとき「従来のモデルで考えていたはずのものが、全くわからなくなる」ということもよく起こります。

現象をつねに観察して、うまく機能するようにモデルのつくり直しを常に行うことが大事ですね。

わかるための訓練

わかるためには、どのような訓練をすれば良いのか?
『畑村式「わかる」技術』では、日常で出来る訓練のキーワードが多数出て来ます。

特に重要だと思い、実践をはじめたものを下記共有します。

「基礎知識の暗記」

何もない、まったくゼロの状態から何かを生み出すことはできません。

物事を理解するのも同じで、自分の中に理解するための必要な要素となるものを最低限もっていなければ、これを使ってテンプレートをつくっていくことも出来ない。

わからないものを、わかるようにするために、最低限の知識が必要になります。

とりあえず、「自分のあたまの中に備える」

という地道な行為が、大事です。

暗記というと、学生時代の苦い思い出が蘇り、拒否反応が起こる方も多いかもしれません。

逆に振り返ると、「暗記さえすれば出来た」という経験もあるのではないでしょうか。

「数と親しむ」

日頃から計算をしていると、数字をみただけで無意識のうちにそれを整理してとらえる方向に頭が動くようになります。

よく子どものころに行った、4桁のナンバープレートの数を10にする遊びも有効のようです。

例)
「2372」=「3+7×(2÷2)」

「定量化訓練」

自分の行動や身の回りにあるものをきちんと観察して、数として把握する「定量化」がとても良い訓練になると言います。

頭の中にいくつくらいまで、数の認識回路を持てるか?の視点ですね。

だいたいの仮説をたてる訓練にもなります。

例えば、階段を上るときに何段あるか?を推測して、実際に歩いて調べる。
丸い棒を見たときに、直径何ミリかを考える。

というように、日常のモノを定量化し、一目見ただけでいろんなことがわかる状態になれるようにするイメージです。

結果として、正しい数に関するテンプレートが頭の中にできあがります。

「基準の大切さ」

起こっている事象をはやく正確に理解するにも、数量の裏付けにある体感を頭の中にインプットしておくことが大事です。

「水が凍るのがゼロ度」
「水が沸騰するのが100度」

という知識ですね。

これは自然現象だけでなく、ビジネスの現場でも言えることではないでしょうか?

市場の規模感や、売上の推定値など

基準がわかると、それだけで、対象の理解を促進してくれます。

「わからないけど作り出す」

正確な答えを知らなくても、自分の持っている知識をフルに活用すれば、必要な答えに自分で辿りつくことができます。

知識の量が少なくても、何を基にどう動けば必要なものをつくりだせるか?というロジックさえもっていれば、いまある知識をフルに使って必要なものを必要なときに自分でつくれるようになる。

まとめ

わかるためには、まず「分ける」ことが大事だと実感しました。

これは、どんな要素でなりたっているのだろう?

というはじめの問いを立てて、抽出していく。

何を持っても、ここからスタートですね。

そして、ビジネスにおいて最初から「わかる」ものは限りなく少ない。

「わからないけど、考える」という姿勢こそ、ビジネスマインドだなと。

何を基にどう動けば必要なものをつくりだせるか?というロジックさえもっていれば、いまある知識をフルに使って必要なものを必要なときに自分でつくれるようになる

日々、この実践であり、訓練ですね。

『畑村式「わかる」技術』

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