吉本の元社長である大崎洋さんが書いた『居場所。』という本。
長く仕事を続けていくために必要な本質が詰まった良書です。
ダウンタウンを見出し、吉本を今の地位までひきあげた著者の本なのでバリバリのビジネス書なのかと思いましたが、良い意味で期待を裏切られました。
自分を高め続けなくてはいけない、今後も稼げるスキルを身につけないといけない、人脈を広げないといけない、どんどん天職をして給与をUPし続けなくてはいけない、、、、
と言うような情報を毎日大量に浴び続ける中で、知らず知らずのうちに感覚が麻痺しているなと感じました
そもそも長く働くとはどういうことなのか?という本質が書いてあります。
それは
「人から頼まれたことだけを一生懸命やる」
ということです。
この言葉を聞くと
受け身じゃいけない、自分から発信しなければいけない、期待に応えるのはあたりまえ
など、さまざまな感情がわくかと思いますが、そもそも「相手」がいるから仕事になります。
自分のためにやること=趣味
相手のために行うこと=仕事
と、『ストーリーとしての競争戦略』の楠木教授も言っています。
仕事を通した自己成長は実は付随するものでしかないのです。
ここまでで読んで、「考えをひたすら押しつけられる本なのか?」と思うかもしれませんが、逆です。
自分はこんな考え、こんなやり方で仕事してきた。
うまくいったこともあれば、失敗もした。
やらなくちゃいけないこと、なんて実はない。
でも「やらないこと」はなんとなく決めている。
それを話すね。
みたいな感じで、ダウンタウンや明石家さんまなど、とのエピソードが交じった面白い話をぼんやりと聞いているような感覚になる本です。
「〇〇しなければいけない」と勝手に自分を縛っていた最近、少し心が楽になりました。
その中で、特に心に残ったキーワード共有したいと思います。
書評:『居場所』
競争しようとしない
まず、競争が大嫌いなので競争をしないようするというキーワード。
ブルーオーシャンを見つけましょうという競争戦略論的な話しでは無く、そもそも能力にコンプレックスのあった著者は人と比べられることが嫌いだったというシンプルな理由です。
吉本に入り、芸人から頼まれごとをされたとき、
自分に頼まれた仕事は競争の概念などなく、ただやるだけだ
と気がついたと言います。
だから一生懸命、頼まれた仕事をやってきた。
・年収やステータス
・乗っている車や住んでいる家
・出してきた結果
このような世間一般の尺度で自分を計る必要は全くないということです。
それよりも小さくて良いので自分の幸せを見つけ、日々感じることの方が大事。
著者は
朝起きて、たばこを吸って、日課の体操をする。
それから朝マックを食べにいき、大好物のハッシュドポテトを食べることに幸福を感じる。
仕事のトラブルが起きたとき。頭の中の9割はトラブル対応を考えるが1割は余白がある。その余白で夜食べるものを考える。
そしてうまいカレーを食べて、銭湯に行き、コーラを飲む。
何も片付いてないけど、とりあえず今日は終わった。
と感じると、とんでもないトラブルの中でも心が落ち着いてくる。
芸能界の中心にいて重鎮、まわりには煌めくような人々で、おそらくみんなから頼られいろんな高級店にも接待される
そんな著者でも、日常にある小さな幸せは我々と変わらない。
大事なのは、自分の幸せルーティーンを知っておくこと
・小さいこと
・簡単ですぐ出来ること
・素直に好きなこと
自分は、コーヒーを飲みながら本を読むことかな
など自分の幸せルーティーンを改めて見出してみても良いかもしれません。
合理的になりすぎない
「好きなことを仕事にして〇〇円」
「好きだからこそ、夢中になって働ける」
みたいなコメントを良くSNSで見かけます。
もちろん素晴らしいことだと思いますが、好きを稼ぎに無理につなげる必要はないと著者は言います。
合理に考えず、人から頼まれたコトだけを一生懸命やれば良い
と主張は一貫しています。
ひとつの会社にしがみつかない、副業でも稼ぐ
など景気の先行き不安ろ承認欲求から、とにかく自ら動いて稼ぎをつくることが必要という風潮があります。
原点回帰で、仕事の本質
人から頼まれたこと
を大切に行う、回り道に見えて一番それが成果につながると言います。
仕事をしていると、日々いろいろなことを頼まれます。
そのことに感謝してひとうひとつ取り組んでいこうという気になりますね。
□友達をつくろうとしない
友達を無理につくる必要は無いと言います。
1人にはとても価値があり、1ひだからこそ出来ることに目を向けさせてくれます。
・1人だからこそ悩める
・1人だからこそ自分を良く知れる
・1人だからこそ自分は自分を裏切らないと知れる
何より自分との対話は、自分の「芯」を見つけることに繋がっていきます。
そして「芯」の共通項でつながると「良い友達」になれます。
無理につくろうとしなくても、いつかふと出会えると言います。
確かに、友達も合理的に考え、関係を築けば、自分にとって何かプラスになることがあるのでは?と潜在意識では考えてしまっていたのかもしれません。
人脈が大事という論調とも繋がっていますね。
みんなにわかって貰おうとしない
闇営業問題など、世間を賑わせた事件は記憶に新しいかと思います。
各方面からバッシングを受けた著者は、あることないこと次々に言われたようです。
そんなこともあり、「みんなにわかって貰おうとしない」という境地に至ったのではないかと想います。
この人だけはわかってくれるという人を思い浮かべると言います。
その上で
・言い訳をしない
・説明をしない
・誤解は解けない
と、放っておくことが大事。
他人にどう思われているか?
はコントロールできません。
・嫌われたくない
・無能だと思われたくない
・つまらないやつだと思われたくない
様々な思惑は浮かびますが、そのために無理に合わせるのは疲弊するだけです。
「放っておく」
は、改めて良い解決策だなと思いました笑
限界まで頑張ろうとしない
私は休むことが下手くそだと思ってます笑
・なんとなく、行動しておかないと不安
・なまけているような気がして不安
・とにかく不安
情けない理由ですが、なかなか心のそこから休むことが出来ていない気がしてます。
・一回休みも時には大事
という言葉を読み、すごく気持ちが楽になりました。
どういう風に休むか?
・1人になれる「避難場所」をつくる
ことからだと言います。
そこで、しばらくゆっくりぼんやりする。
思えば、全ての行動に理由と結果を求めていた気がします。
この行動は〇〇につながる
何にも繋がらないと、時間の無駄になる
といったイメージです。
書いているだけで疲れますね。
とはいえいきなり長く休むのは気が引けますので
1日、半日、3時間
少しの時間から、はじめてみようとおもいます。
1人になれる避難場所は
・落ち着ける
・すぐに行ける
・大好きな場所
公園、カフェ、本屋、、、
いくつか思い浮かびますね。
まとめ
仕事で成果を出すことも大事ですが、それよりも日々楽しく暮らす方が大事
仕事は目的でなく、手段
そんなことを思い出させてくれる本でした。
何より、読んでいて心が楽になりました、
ちなみに、松本人志のベストセラー「遺書」の間に「場」を入れて
「居場所」というタイトルにしたようです。
芸人たちの「場」を作ってきたという、仕事の意味もかかっていますね。
とても粋なタイトルと背景。
素晴らしい本でした。
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