仕事がうまくなりたい
そんなことを思ったことがある人にとっておすすめの本があります。
『コンサルが最初の3年間で学ぶコト』
仕事がうまくなるためのコツが満載です。
この本を読みながら、気づきも多く、改めて反省することもありました。
仕事をはじめて10年以上たっていますが、破壊力は抜群でした。
コンサルの「仕事の方法」は、あらゆる種類の仕事をうまく進めるための、普遍的な方法だと改めて思います。
【書評】コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト
仕事の心構え
まずは、仕事の心構えです。
一言で言うと、プロ意識を持つ。
仕事をしていれば、その分野でのプロだと言えます。
意識することにより、ひとつひとつの行動が丁寧になり成果へとつながっていきます。
答えが無いゲーム
前提として、我々の仕事は
「答えのないゲーム」です。
今まで、答えのあるゲーム(=テストなど)
に慣れてきたので、まずは仕事には答えが無いという事実を認識することが大事です。
そして、答えの無いゲームの戦い方には3つのルールがあります
①良いプロセス
=良いプロセスから出て来た答えは、良い
②2つ以上の選択肢をつくり、選ぶ
選択肢の比較観で、より良いものを選ぶ
③炎上、議論がつきもの
議論することが大前提、時には炎上しないと終われない
①良いプロセスとは?
良いプロセスは、下記の順番です
論点→サブ論点→TASK→スケジュール→作業→アウトプット
一番大事なことは、いきなりTASKから始めないことです。
まず「論点をサブ論点に分解」
すべてはここからはじまります。
②2つ以上の選択肢をつくる
タスクの潰しかたを2通り以上作り選択する必要があります。
比較することで、よりベターな方法を選べます。
③炎上、議論がつきもの
上司やメンバーとディスカッションします。
答えがないからこそ、ときには炎上させるまで議論することが大事です。
仕事を早く手放したくて、この最後の工程を飛ばしたくなる物です、、、。
議論に慣れていないと、自分の出したアウトプットを批判されたと感じ、気分が悪くなることもあるでしょう。
しかし、成果を出すには避けることの出来ない工程です。
何度も議論をしてなれていきましょう。
つじつま合わせ
マネジメント層やクライアントと対峙していると、必ず起こることが
「前行っていたことと違う」
「自分の考えと違う」
という場面です。
そんなときに、すぐに文句が頭に浮かんでしまうかもしれません。
そんなときに、そのまま文句を浮かべるのではなく
「どう考えれば辻褄が合うのだろうか?」
と考えます。
自分には、前提や直近に起きた変化が見えていないと認識して、それを探りにいく行動を起こします、
たとえば、
・昨夜に会食があり、誰かからインプットがあった
・自分たちが知らない事件、誰かが辞めるなど環境変化があった
と考えます。
ただ、我慢して了解と言うのでも無く、こうした背景をさぐることで、相手の思考を読み取る訓練にもなります。
質問に答える
How are you → I’m fine!の法則
「質問に適切に答える」
簡単に見えて、これがなかなか難しいです。
チェックポイントとして
「答え(返事)から、質問に返ってこれるか?」
です。
英語話せる?→はい。少し話せます
夕飯ある?→ある。ハンバーグよ
まず、しっかりと答えてから、自由に補足する。
この本を読んでからとくに意識するようになりました。
思考を進化させる材料が大事
コンサルの仕事で、というかほとんど全ての仕事で、大事なのは
思考を進化させるための材料です。
構造化やMECEに価値はほとんどないと言います。
それは、説明のための整理でしかないから。
仕事は
インプット→考える→アウトプット
で進みます。
だからこそ、良いインプットが無いと何も始まりません。
軸足を、「考える」や「アウトプット」に置いてしまいがちだからこそ、材料作りに重きをおく必要があります。
良い材料づくりこそが、アウトプットの質を決めます。
スタンスをとる
・意思と勇気を持ち、限られた情報の中でどちらかを選択する
・現時点での、YESかNOかをはっきりと表明すること
が大事です。
ケースバイケースなので、何とも言えない
と答えたくなってしまいますが、それだと議論が進みません。
そもそも、答えの無いゲームなので議論をしないと進みません。
スタンスを取れるようになるには、訓練も大事です。
プライベートでも、AかBかを断言する、時事問題も読み賛成/反対を表明する。
クセをつけるところから、はじめると効果的です。
具体的スキル
本で紹介されていた、仕事をうまく進めるための、具体的スキルをピックアップしました。
普遍性が高く、今からでも活用することができます。
「なんとなく知ってはいたけれど、そういうことだったのか!」
と理解が深まりました。
議事メモ
時事録には3つあると言います
①発言録
誰が何を言ったのかを、漏らさずに書き起こす
②議事録
・構造化/MECE
同じテーマをまとめるなど
・ネクストステップをくくり出す
会議は、議論し意思決定し、モノゴトを前に進めるためにあります。
なので、「決まったこと×決まらなかったこと=ネクストステップ」をしっかり見える化することが大事です。
・その場の空気感
会議で生み出される「材料」は発言だけではない
例えば
「それは(絶対に)反対です」なのか「あえて言えば反対です」という視点を入れる必要があります。
③議事メモ
・構造化を論点ベースで行う
参加者(ファシリテーター)が事前に持っていた、論点をベースに構造化することです。
1行目で「メッセージ=どういうことが分かったか?」
その下に、「根拠となる発言=なぜそう言えるか?」
を補足していくイメージです
・仮説の進化に力点をおく
事前にたてた仮説が、その通りだったのか?違ったのか?の視点が見て取れるとさらに価値が上がります。
ただ、議論を見返すだけでなく、仮説検証の証拠にもなります。
・ネクスト論点まで書かれている
次に解くべき問いは何か?につなげます
前述した
論点→サブ論点→TASK→スケジュール→作業→アウトプット
の流れをつなげると仕事がうまくなります。
ネクストステップはTASKなので、その前には必ず論点→サブ論点」が存在します。
なので論点で書き示す方がズレを防げます。
言わずもがな③議事メモが最も価値が高いです。
そしてネタは鮮度が大事。
キツくても24時間以内に共有することを目指しましょう。
田の字
対立思考はモノゴトを考えやすくします。
広く浅く VS 狭く深く
客単価(短期) VS ライフタイムバリュー(中長期)
既存サービス VS 新規サービス
売り切り VS サブスク
売上利益 VS ロイヤルティ
自社 VS 提携買収
2つの構造だけで無く、2×2の4つの対立をつくることでさらに解像度が上がっていきます。
田の字は戦略思考の始まりとも言えます。
フレームワークは説明するためのもの
フレームワークは、あらかじめ構造化された枠に過ぎず、考えるための道具にはなりません。
ありきたりだから「フレームワーク」になったという視点を持つことが大事です。
3Cも4Pもそうですよね。
ここは大いに反省するところでした。
枠は考えやすくするけれど、枠の中だけで考えていては本質的なことは現れない。
枠は自由な発想を取り去ってしまいます。
フレームワークを気にせず、考えを進めた上でフレームワークで整理して伝える。
という順番です。
文系の因数分解
ロジックの中心には因数分解がいます。
ジムの売上
=延べ会員数÷月の平均利用回数×月会費×12ヶ月
算数/数学の世界の因数分解のことを理系の因数分解と言います。
これとは別にもうひとつ
文系の因数分解があります。
テーマを議論のしやすい形に分解していくイメージです。
チャーム=①物理的強さ×②距離の詰め方×③詰めたときのパンチ力
こう分解すると、どこの要素が足りていないのか?など、議論が進められます。
さらに
[①面×体のバランス×ファッションセンス]×[②自分で踏み込む力+他人に踏み込ませる力]×[③標準の理解力+15度のズレを起こす力]
ここまで分解すると、より具体的になりアクションまで結びついていきます。
単純作業はやってから寝る / 考える作業が寝てからやる
朝一までにやらなくてはいけないことがあるけれども、めちゃくちゃ眠い、、、。
といったことはありますよね。
そんなときに、一旦寝るか?そのまま行くか?
と迷ったこともあると思います。
結論として
・考える作業は、寝てから
・単純作業はやってから
これは実感としてもその通りだと思っております。
言葉を大切に使う
著者は、「言葉」に対してこだわりをもっています。
なので、モヤモヤが晴れる「整理」や覚えておきたいと感じる「格言」ともいえる言葉が沢山でてきます。
論点思考 / 戦略思考 / 仮説思考
論点思考とは、「問い」の世界の思考技術
戦略思考とは、「解」の世界の思考技術
です。
仮説=検証されていない状態
仮説思考とは、「今、取り組んでいる問い」に対して
「今の時点で与えられている情報で考え切るメンタリティ」のことです。
よく使うけれども非常に似ている。
それぞれの言葉の定義が明解になりました
打ち手 / ソリューション / 施策
こちらも、頻発する言葉たちです。
打ち手:課題とセットで打ち手を議論
原因とセットで打ち手を議論といった解決策だけでなく、その原因を語る時にしか使えません。
ソリューション:ゼロベースで作ったものではなく、ありもの感
施策:フラット。打ち手も祖リューションも使いにくいときに
ロジックの反対はストーリー
意思決定者が入るMTGでは、担当者と積み重ねてきた議論・資料の積み重ねでは伝わらないことが多いです。
これは実感としてもありました。
資料の積み上げでは納得感が得られない。
それは、その人向けのストーリーで語ってあげないと、理解に至らないからです。
ストーリーとは、ロジックを捨てたもの。
日ごとのミーティングは、当然ロジックで作るけれど、意思決定者向けには、ロジックでなくストーリーでつくる。
ロジックの反意語はストーリー。
この言葉には、まさに膝を打つ思いでした。
なんとなく、あれだけ議論してきたのに伝わらないなと、
モヤモヤしていたことが晴れた思いでした。
・構造を相手にゆだねる
前提として、構造は説明をしやすくするための道具でしかありません。
これは、自分も反省するところが大いにあるのですが
「自分にとって心地よい構造化」
を選択してしまいがちです。
ここに罠があります。
読み手、聞き手にとって心地よい
=既にそれに関して作っている構造を意識して構造化する
ことが大事になります。
ちなみに、この本が凄いと思ったのが、あえて「構造化」していないところです。
そのほうが読者のなかにある知識や経験に結びつけたり、既にある心地よい「構造」に入れてもらった方が習得できるからだと言います。
自分を売る
コンサルは何を売っているのか?
段階があると言います。
「代行」:雑用も含めた労働
クライアントの社員でも出来るけど、人が足りないのでお願いされる
「パッケージ」:クライアントが提示した「お題、論点」に対して、コンサルとしての「解」をまとめた資料(パッケージ)
「議論」:そのパッケージを通しての議論
「論点」:クライアント起点ではなく、こちら起点で「クライアントが今、解くべき課題は何か?」を提示する
「自分」:知性、人生哲学を含めて「貴方が言うのなら」の関係性。
一足先には行けない、じっくりと進化していくことが大事です。
まとめ
この本には、「仕事がうまくなるため」のコツがたくさん書かれています。
コンサルタントとは、仕事がものすごくうまい人たちの集団であり。
だからこそ、クライアントも気づかなかった課題に気づき、解決に持って行けるのでしょう。
・コア作業をとにかく深く行うにはどうすればいいか?
・コア作業に時間をかけるために、それ以外の作業をいかに効率化にするか?
大きくはこの2つの視点に集約されていると思います。
なにごとも「うまく」なれば「楽しく」なる。
書籍「コンサルが最初の3年間で学ぶコト」は仕事が楽しくなるための教本でもあります。
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