【書評】解像度を上げる

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・まだまだ「解像度」が低いなぁ
・だいぶ「解像度」があがってきたぞ

ビジネスの現場において、このような言葉を聞いたことはありませんか?

自分自身「解像度」と言う言葉をよく使っています。

しかし、立ち止まって考えてみると、解像度とは何なのか?をうまく説明できずにおりました。

そんなときに、

『解像度を上げる』

という書籍読み、解像度の「解像度」が上がった気持ちになりました。

下記、内容を共有いたします。

書評:解像度を上げる

解像度とは何か?

解像度とは、

物事への理解度や、物事を表現するときの繊細さ、思考の明晰さを画像の粗さやビジュアルイメージを想起させながら示す言葉です。

特にビジネスの現場で使われることが多いです。

その理由は、「解像度」がまさに成功の肝になるからです。

【解像度が高い状態】
・顧客像がはっきりと見える  
・話しが明解かつ簡潔
・例が具体的
・多くの事例を知っている
・様々な可能性を考慮している
・これからやることの布石が明確

【解像度が低い状態】
・顧客増がぼんやりしている
・はなしを聞いていると、疑問がわいてくる
・具体性がなく、ふわっとしている
・競合や事例を知らない
・解決策が安易
・話しがばらばらで、論理の飛躍がある
・進め方の見通しがない

解像度を上げる4つの視点

解像度を上げるには4つの視点が必要です。

【解像度を上げる4つの視点】
深さ:原因や要因、方法を具体的に掘り下げること

広さ:考慮する原因や要因、アプローチの多様性を確保する

構造:深さや広さの視点で見えてきた要素を、意味のある形で分け、要素間の関係性やそれぞれの相対的な重要性を把握する

時間:経時変化や因果関係、物事のプロセスや流れを捉えること

解像度が高い人は、相手の持つ課題を、時間軸を考慮に入れながら、深く、広く、構造的に捉えて、その課題に最も効果的な解決策を提供しています。

例えば、「教育が問題だ」という発言の解像度はまだまだ低いです。

問題は

・教育システム全体なのか?
・教科書なのか?
・教員の質なのか?

がわかりません。

4つの視点で、

「情報収集」をおこない
・得た情報から「思考」して
・実際に体験するため「行動」をする

上記のサイクルが、解像度を上げることです。

課題の視点と解決策の視点

ビジネスでは、価値を出すことが大事です。

価値は、課題があり、それに対する解決策が重なることで生まれます。

課題と解決策のフィットが大きければ大きいほど価値があります。

フィットしないと、どんなに大きな解決策でも価値がなくなってしまいます。

例えば、
ラッシュ時に車で現場に早く着くには?という課題に対する、F1に搭載する高速エンジンは、価値がありません

早く着けない原因は、「車のスピード」ではなく、「渋滞」だからです

課題のより詳細な特定や、解決策の技術的な改善を重ね、課題と解決策を大きくフィットさせていくことが、価値を大きくすることにつながります。

とくに、課題の解像度を上げることが大事だと感じます。
この記事でもそこにフォーカスをしたいと思います。

課題の解像度を上げる方法

すぐに解決策に飛びつかないこと

これが鉄則になります。

まず課題の解像度をあげることが大事です。

ここで良い課題の3条件を確認したいとおもいます。

【良い課題の3条件】
①大きな課題であること

課題の大きさ=課題の強度×課題の頻度

課題の強度:
・課題が起こったときにどれくらいの痛みを感じるか?
・解決できなければどれくらいの金額を失うか
・解決できたらどのくらいの金額をえられるか

課題の頻度:
・その課題がどのくらい頻繁に起こるか?

②合理的なコストで、現在解決しうる課題であること

解決できることが大事
コストの視点は課題を工夫すればできることもある

チケット販売

課題「先着順で数百万人がアクセスしてもOKなインフラ」=費用かかる

課題の工夫「数百万人がチケットを購入できる」
 →一定数を超えたら待機室で待ってもらう
→抽選にする

③実績をつくれる小さな課題にわけられること

解決可能な小さな課題に分割して、その中で最も大きな影響をもたらす課題に取り組む。

課題は小さすぎてもダメだし、逆に大きすぎて手が付けられないのもダメです。
大きく、かつ手をつけられる課題を設定する必要があります。

深さの視点

症状ではなく、原因を突き止めることが大事です。

その際、市場の課題(症状)と個人の課題(原因)をわけます。

市場の課題の事実は、みんなが知っている情報
他社と差別化できるポイントは、顧客の課題への洞察がポイント

深さのレベルを意識して、「なぜ?」を複数回掘り下げていきます。
解像度が明解になるのは、5回以上なぜを繰り返した先です。

内化と外化を繰り返すことが大事です。

内化:読む・聞くなどを通して知識を習得したり、活動(外化)後のふり返りやまとめを通して気づきや理解を得たりすること

外化:書く・話す・発表するなどを通して、頭の中のことをアウトプットすること

「言語化して現状を把握する」

今自分が考えている課題を言語化してみる。

仮説を紙に書いてみることをおすすめします。

6W3H(Why/When/Who/Where/Whom/How/How much/How offen)
の視点で具体的に書き出します。

すると、わかっていること、わかっていないこと、現状の解像度のレベル感がわかります。

【書き出すときのポイント】

・主語を明確にする
・動詞を入れる
・明解かつ簡潔に
・名詞は正確に
・形容詞や形容動詞は「数値化」「具体化」
・バズワードや抽象的な言葉を避ける

「声に出す」

実際に声に出すと、うまくいえない部分がでてきます。
そこが現状解像度が低い部分です。

「サーベイをする」

言語化すると、まだまだ解像度が低いとわかることがほとんです

シンプルに情報収集をする必要があります

紹介されているのは

・事例100個あつめる
・グーグル検索10ページくらい見る
・関連書籍を片っ端から読む
・動画や講演で最先端の情報をつかむ
・データ分析(ほどほどに)

「インタビューする」

実際の顧客にインタビューをします

ポイントは「意見でなく事実を聞く」こと

顧客は自分の本当のニーズがわかっていないことが多く
意見は、バイアスになる危険性があります。

事実を集めて、洞察を深めましょう。

過去は思い出してもらうが、将来やアイデアは考えてもらわない姿勢で臨むと事実を引き出すことができます。

【インタビュー例】
・あなたが解決しようとしていることに関する一番の難題は?
・その問題に最後に直面したときのことを教えて
・それが困難だった理由は?
・その問題を解決しようと思って、したことは?
・これまでためしたソリューションで気に入らなかった点は?

「現場に没入する」

自ら体験することも大事です。

類似の商品を使ってみるなど、体験は解像度をあげるのにかなり役立ちます。

「WhySoを繰り返す」

事実や情報をもとに思考し、そこから得られた洞察を言語化する

「なぜ?」を5回くらい繰り返すイメージ

注意点
1:仮説を具体化してから問い始める
2:ストレスフルで解答まで時間がかかることを理解
3:原因を人に依存させすぎない(システムも考える)
4:業界/会社/個人など問題のレイヤーの抽象度を上げ下げしながら深掘りをする
(人に原因を持たせそうになったら、システムに抽象度を上げて捉える
5:誰かの攻撃のために使わない

「言葉概念、知識を増やす」

語彙をふやすことは、世界をより精密に見分けることにつながります。
そして、語彙を適切に運用することが大事です。

広さの視点

広さの視点で解像度をあげることは、探索の範囲を広げて、より広い視野をもつこと

「前提を疑う」
ゼロベース思考とも呼ばれます。
そもそもを問うことです。

そもそも何のためにあるのか?
そもそも必要なのか?

など

また「×10の問い」があります。

今の10倍の生産性を出せる方法はないか?
今の10分の1のコストでつくれないか?

1桁違うと考え方も異なってきます。

「リフレーミング」

物事を異なるフレームで見てみること

「視座を変える」

視座:物事を見る場所
視野:見えている範囲

視座を高くするとは、
今の自分の立場より2階層上で考えてみることです。

「相手の視座に立つ」

顧客候補の面倒だと感じるポイントに共感しながら、なぜか?を考える

自分だったら使うか?

の問いは、視点を広げることに役立ちます。

「未来の視点に立つ」

未来から逆算してものを考えると、課題を大きく捉えることにつながります。
※バックキャスティングといいます

「レンズを分ける」

物事を見るときの考え方(レンズ)を複数もつことです。

・ビジネスのレンズ
・社会学のレンズ
・物理学のレンズ
・環境学のレンズ
・理論のレンズ

複数の立場から、物事を見ることがポイントです。

「旅に出る」

全く知らないことを知るには、今の自分が知らないキーワードが必要です。

旅は、異なる環境に身をおくので、見知らぬモノと出会うことになります。

とはいえなかなか、普段旅に出るのは難しいですよね。

おすすめは、日帰り旅です。

一日休みをとり、いつもと違う場所へ行く。

一日あれば日本なら意外とどこでもいけます。

東京にいるなら、大阪は余裕ですし、九州も行こうと思えば行けます。

「人と話す」

人と話すことも大事です。

他人から見たときの視野や自分の持っていない知識を得ることが出来ます。

それが、視座を変えるきっかけになります。

なにより、解像度を上げるには、独自の情報が重要になります。

独自の情報は、自分の現場での経験から生み出されるか、人からもたらされることが多いです。

「深める場所を決める」

広さの視点で解像度が上がったら、深める場所を決めます。

深掘り出来そうな目当ては過去の知識で見えてくるときがあります。

また、人に聞くのも有効です。

少数のヒアリングでも、同じことを言う人が多ければ、そこは深める価値があります。

また実現性/メリットの視点で深める場所を見極めていきます。

構造の視点

深さや広さの視点で見えてきた要素を、意味のある形で分けて、要素間の関係性や重要性を把握します。

構造化は、広げた視点を深ぼめる場所を決めることにも役立ちます。

具体的には
「分ける」「比べる」「関係づける」「省く」ことが大事です。

分ける

分けることは分かることにつながります

「切り口を工夫する」

大切なのは、どの切り口でわけるか?

MECE(モレなくダブりもない)ことが重要で、フレームワークはその点とても使えます。

3C
PEST
ビジネスモデルキャンバス

などですね。

たあだフレームワークを使いすぎると、重要な点を見逃す場合もあります。

最低限のレベルに至るための切り口であり、そこから深い洞察を得ることはなかなか難しい場合があります。

やはりここでも独自性が大事。

おすすめは、事例を調べて、自分たちが取り組んでいるモノに応用すること

具体的な行動が見えるまで分けることが大事です

行動ができる粒度にするには、知識が必要になります。

なのでインプットは非常に重要です。

比べる

意味を見出すためには、比べることが大事です。

有効に比べるためには、いくつかのポイントがあります。

「抽象度を合わせる」

同じレイヤーで比べることが大事です。

抽象と具体のレベル感がポイントですね。

抽象とは
物事の中で、注目すべき特徴や要素、ルールを選んで、その他は捨てて考えることです。

ビジネスモデルなどが当てはまります。

それが、実際の製品やサービスまで落ちてくると具体になってきます。

物事を同じレベルで比べることが大事です。

「大きさを比べる」

比較の基準となるのが大きさです。

物事の大小をみることだけでなく、成長率など
目的に合わせて、どの大きさを見るのか?を決めます。

「重みを比べる」

重みとは全体への影響度です。

パレートの法則(結果の80%は20%の原因から生み出されている)
とあるように、取り組む勝ちのある課題は10あるうちの2、3個です

どこに重みがあるか?の視点で比較することは非常に大事です。

「視覚化する」

比較しやすくするには、視覚化が重要です。

グラフ化やチャートのイメージです。

棒グラフ:量を比べる
円グラフ:構成比や割合
折れ線グラフ:時系列で比べる
2軸マップ:相関を比べる

関係づける

分けた要素間の共通の性質を「関係づける」ことで、洞察が得られます。

「グループ化する」

共通項を見つけてまとめます
例)赤いモノ

「並べる」

何かの基準に従って順序づけたり、物事が起こる順に整理したり、特定の意味を持つ順に要素を配置したりします。
例)大きさ順/時間順

「つながりを見る」

要素間のつながりを見ます。

例)因果関係
因果関係のポイント
①原因と結果の要素に関係がある
②時間的な系列がある
③隠れた第3項がないこと

「システムを把握する」

システムとは互いにつながりあって、相互作用する要素の集合体です。

システムは、複雑な場合が多い、過度な単純かを避ける心構えが必要です。

システムは常に不安定なことはなく、最終的には安定して均衡します。

システムのどこかで循環が起こり、フィードバックがかかることでシステムは均衡へと向かいます。

「図にする」

視覚化は、関係性をみつけるのに有効な手段です。

文字だけで無く、絵を描くこともポイントとなってきます。

因果関係を図にすることから、関係性が見えてくることもあります。

関係を取り巻く環境を意識することも、関係性をただしく捉えるポイントとなります。

周辺には、どのような規制や制度、文化があるのか?を意識するイメージです。

省く

構造をわかりやすくするため、削ったり、除いたりすることです。

分ける、比べる、関係づける全てにおいて行います。

分けるとき:割合として小さいモノは全て「その他」に入れたり、外れ値を省く
比べるとき:数にすることにより、特定の特徴意外を省く
関係づけるとき:グループ化することで、対象にしないものをグループ外として省く

時間の視点

実際のビジネスでは、時間と共に状況が変わります。

課題がどう移り変わるか?時間軸を意識することが大事になります。

「変化を見る」

毎月定点で見ている数字変化を見ます。

売上や利益がイメージ着きやすいですね。

時間の単位に気を付けながら(週/月/年)パターンを考えていきます。

「プロセスやステップ」

物事をステップごとに分割して、プロセスを見ます。
物流や製造工程などがわかりやすいですね。

企業を主語にすれば、バリューチェーン
消費者を主語にすれば、カスタマージャーニー

主語に着目して、プロセスを分解するのは、有効です。

「歴史」

時間をさかのぼって、市場や業界の変遷をみることは、市場構造を理解する上で非常に役立ちます。

また、非合理的に見えるルールも、組織の歴史を振り返ることで、その理由が見えてきたりします。

まとめ

解像度を上げることは、良い仕事をすることに繋がります。

解く課題がわかり、有効な解決策に繋がるからです。

4つの視点
「深さ」
「広さ」
「構造」
「時間」

で、解像度を上げる行動を日々行っていきたいと思っております。

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