仕事の基本は、「問題解決」です。
・問題解決の型を知りたい
そんな疑問に答える記事になっています。
私自身、中小企業診断士として、お客様の「問題解決」をすることを仕事としています。
問題の種類は様々ですが、実は使っている型は同じです。
問題=あるべき姿ー現状
このフレームワークの使い方が記載されている。
「問題発見プロフェッショナル 構想力と分析力」を実務に活用していくイメージで要約しながら、問題解決の型を共有したいと思います。
問題解決の型【要約】問題解決プロフェッショナル構想力と分析力
問題とは?
問題とは一言で言うと、目標(あるべき姿)と現状とのギャップです。
問題=あるべき姿ー現状
問題解決とは、
「あるべき姿を構想すること」
「現状を分析し、ギャップ(問題)を認識する」
「問題を解決すること」
だと言えます。
問題発見ができない理由
実務の現場では、正しい問題を発見することは、なかなか容易ではありません。
問題発見が出来ない理由は、下記の4点に集約することが出来ます。
①-1「あるべき姿」をイメージできない
①-2「あるべき姿」が間違えている
②「現状」の認識・分析力が低く、正確な把握ができていない
③ギャップの構造を解明して、問題の本質を具体化・優先化することができていない
④実行可能な「解決策」から逆順で短絡的に問題をとらえるために、拡がりを見失う
①-1「あるべき姿」をイメージできない
あるべき姿とは、「ビジョン」や「目標」とも言い換えることができます。
たとえ、現状に不満があったとしても「あるべき姿」がイメージできないと、現状とのギャップが見えず、問題も見えません。
①-2「あるべき姿」が間違えている
前提となる条件が変われば、あるべき姿も変わります。
社会や産業、消費者意識は日々変化しています。
従来の枠組みに固執していると、ズレが生じてきます。
②「現状」の認識・分析力が低く、正確な把握ができていない
・意志の問題
漠然とした問題意識はあっても、現状を直視する意志が欠如している場合に起きます。
なんとなく問題を先送りにしたりする場合もこれにあたります。
・スキルの問題
高度にマニュアル化が進むと、解決することが仕事となり、問題を分析し、問題の本質を把握しようとしなくなります。
すると、分析スキルも身につかなくなってしまいます。
③ギャップの構造を解明して、問題の本質を具体化・優先化することができていない
問題の捉え方が表面的なために、解決すべき問題を深掘りできないと、具体的な問題解決のステップに進めない。
本当に大事な問題は何か?何から解決すべきかわからない状況というイメージです。
④実行可能な「解決策」から逆順で短絡的に問題をとらえるために、拡がりを見失う
とくに業績が悪化すればするほど、焦りも生まれてきて「実行可能な解決策」に走る傾向があります。
しかし、実行することばかりに目が行くと、問題の本質に迫ることからと遠ざかってしまいます
パッと思いついたアイデアに強引に合わせようとする姿は、現場でよくおこります。
問題解決に必要な技術
問題解決に必要な技術は
「あるべき姿を構想する力」
「現状を分析し、ギャップ(問題)を構造的に整理する力」
です。
あるべき姿を構想する力
今までは、あるべき姿が与えられていて、その中で問題解決を行っていれば良いという状況が多かったのではないでしょうか。
しかしこれからは変化が激しく、価値観が多様化した現代は、「あるべき姿」を構想しにくい時代とも言えます。
その中でも構想し、ビジョンを示すことはリーダーシップを取る上で最も大事なスキルと言えます。
「あるべき姿」を構想するための4つのスキル
あるべき姿を構想するためには4つのスキルが必要です
①観察力:事実をもとに、現状を客観的かつ正確に認識・把握する力
②判断力:ビジネスの責任当事者として、主観も含め選択・判断・決定する力
③分解力:具体レベルにまで論理的に分解・分析する力
④統合力:限られた現状認識・把握から全体像組み立て、構造化・構想する力
「あるべき姿」を構想し、問題を発見するための4つのP
あるべき姿を構想するために役立つフレームワークとして、4つのPがあります。
①Purpose:目的軸
②Position:立場軸
③Perspective:空間軸
④Period:時間軸
①Purpose:目的軸
大前提である目的を捉えます。
行動をしていると、手段が目的かして、本来の目的を見失ってしまうことがあります。
そのような時は、
・そもそも「何のために」行動するのか?
・そもそも「何のために」そう決めたのか?
と、問うてみるとクリアになっていきます。
②Position:立場軸
「誰にとっての問題なのか?」を明らかにします
同じ現象、状況下においても、問題となる人もいれば、そうでない人も居ます。
自分自身を振り返ってみても忙しいときと余裕があるとき、物事の捉え方は異なりますよね。
自分と異なる視点を持つことがポイントとなります。
一番のおすすめは、顧客視点にたって考えてみることです。
③Perspective:空間軸
問題を俯瞰して見ることです。
なるべく高いところから問題や事象をとらえて、狭くならないように、広く全体を捉えることを意識します。
どのらいの領域まで考えるか?によって「問題」の捉え方が異なります。
領域をしっかり定めることが大事です。
そうすることで、狭すぎたり、あまりにも現実離れしすぎたりすることを防ぎます。
④Period:時間軸
どの「時点」での問題として捉えるのか?
どの「期間」での問題として捉えるのか?
をクリアにします。
時間軸があいまいで、話しがすれ違ってしまうことは現場でも良くあります。
直近の話しをしているのか?
3年後の話しをしているのか?
で、検討する内容も変わってきます。
時間軸があまり近すぎると、過去の発想にとらわれてしまい、問題がクリアにならないことがあります。
そんなときは、少し未来に時間軸をおくと「あるべき姿」が見えてきます。
問題発見の4Pは、
①「あるべき姿」を構想する
②「あるべき姿」と「現状」とのギャップである「問題」を特定する
ためのフレームワークです。
それぞれが独立した軸ではなく、相互に関係します。
4P全体を通して、考えることが大事ですね。
「現状を分析し、ギャップ(問題)を構造的に整理する力」
問題の本質を分析するための3つの視点
問題を客観的に構造化・具体化するためには3つの視点が重要です。
①拡がり
②深さ
③重さ
①拡がり
ビジネス上の問題をとらえるための範囲です。
・ビールをビール市場として捉えるのか?その他のアルコールも含めたアルコール飲料で捉えるのか?
・ディスニーランドを「家族で楽しむ場所」と捉えると、ショッピングセンターと競合する
など、ニーズの解決手段が多様化した現代においては、この範囲が非常に曖昧になってきています。
過去の「業界切り口」だと通用しなくなってきています。
一度、ビジネスや消費の構造を分解し、どう再編集するか?という視点が必要になってきます。
②深さ
問題の本質を捉えるため、問題を構造化して、具体的本質に迫ります。
目に見える成果としての数字だけを見るのでは無く、そこに至るプロセスも見ながら本質を見ていきます。
メカニズムを発見していく姿勢が非常に大事になってきます。
③重み
どの問題や解決策を評価して、どこにフォーカスをすべきか?を決断することです。
資源は組織としても個人としても有限です。
有限の資源と時間を、最も効率よく、最もインパクトが出るように活用するために、優先順位をつける必要があります。
忙しいわりに、成果がなかなかでないのは、この重みづけが出来ていないことが多いです。
とくに、重要でないことを重要でないと判断し、捨てる決断ができないことが問題です。
判断軸をつくることが、最も大事なことです。
分析をするうえで、重要なスタンス
固定観念をとりさり「ゼロベース」で考えることと「仮説」をたてることが、基本的思考です。
仮説は、SoWhat(だから何?)とWhy(なぜ?)のサイクルを何度も繰り返すことによって問題の構造を明らかにして、解決の道筋を立てて行きます。
そのために3つの視点が重要になります
①2次元でとらえる:X軸Y軸の意味をよく考える
②分析から導き出される意味合いを必ず引き出す:SoWhat(だからどうした)を考え抜く
③定量分析と定性分析を使い分ける:問題の構造やメカニズムを解明する
具体的分析手法
具体的な分析手法を紹介します。
本書から、特に実務で活用している手法を厳選しました。
1:拡がりの視点の分析手法:MECE
「モレなくダブりもない」という集合の概念です。
分析のSTEP
①全体の枠の取り方と切り口を考える
事業領域の枠組みやビジネス活動の範囲、顧客ターゲットの拡がりなどを、どうとらえるか?を考えます。
②モレを確認する
「モレはないか?」という視点で物事を見ます。
しかし一朝一夕には、モレを認識することは難しいです。
モレを認識するために
日常的自分でも、議論する相手とも「モレはないか?」をチェックします。
その習慣をつけることが大事です。
モレを放っておくと大きな機会ロスになります。
反面既存ビジネスのモレが、次のビジネスチャンスにつながることもあります。
③ダブりを確認する
土俵がダブルことを指します。
A事業とB事業が同様の商品開発を行っている場合などが当てはまります。
ダブりはマイナス面がフォーカスされがちですが、プラス面もあります。
マイナス面としては、資源の非効率化
プラス面としては、領域強化
プラスとマイナスは同時に成立していることが多く、両面から解消を判断します。
2:深さの視点での分析手法:ロジック
ロジックによって構造化し、問題を深掘りします。
「なぜ」「なぜ」「なぜ」と繰り返していく作業になります。
ビジネスの成功要因、失敗要因の学習もこのプロセスで辿ります。
ビジネスのロジックがわかると、他事例にも展開し成功可能性を高めることができます。
ベストプラクティスとベンチマーキングは「演繹法」と「帰納法」の組み合わせでおこないます。
演繹法
誰もが普段意識的あるいは、直感的におこなっている「こうなればこうなる」という構造を把握するためのロジックの大原則。
アリストテレスの三段論法とも言われる
帰納法
複数の事実から共通性を見出し、ビジネスのメカニズムを推論する。
過去・経験重視のアプローチのため偏った事実に基づく推論、筋の悪い仮説は結果をミスリー痔する。演繹法の一般構造(大前提)となることが多い。
③重さの視点での分析手法:ABC分析
資源配分を最適にするために、重点分野をABCとランキングして優先順位を明らかにします。
商品管理や顧客管理の一環として行われることが多いです。
売上や利益貢献の高い順にランクして、低ランクのものを整理する方法です。
分析タイプ
①単一評価軸による分析
売上や利益など単一の軸で評価する
②複数の評価軸による分析
対象をより多面的に評価し、ランク付けをする場合
例1:営業エリアの優先順位
市場魅力度×自社の顧客獲得率
例2:研究プロジェクトの優先順位
投資を進めるか?止めるかの意志決定で活用します
技術的・事業的魅力度×自社の開発成功可能性
まとめ
問題=あるべき姿-現状
問題とは一言で言うと、目標(あるべき姿)と現状とのギャップです。
問題解決とは?
「あるべき姿を構想すること」
「現状を分析し、ギャップ(問題)を認識する」
「問題を解決すること」
マーケティング戦略の立案、事業部のアクションプラン、商品開発、ブランディング、全てのテーマに今回ご紹介した問題解決のフレームワークを活用してきました。
問題解決プロフェッショナル「構想力と分析力」は、考え方から具体的な分析方法まで網羅されています。
何度も再読する、仕事の教科書です。
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