哲学思考 仕事で使える5つのキーワード

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●仕事の成果を上げるために、考えるための道具が欲しい
●哲学って理解できたら凄く役立ちそうだけど、難しそう
●シンプルに哲学を仕事に使ってみたい

こんなこと、考えたことは無いですか?

「哲学」は、人類の天才たちが生涯を通して考え抜いた叡智の集まりと言えます。

その叡智の「使い方」を教えてくれる本が、山口周さんの「武器になる哲学」です。

私は、メーカーにてマーケティングの仕事しながら、中小企業診断士として活動をしています。

会社の問題点を抽出して、課題を設定し、解決策を考えて、実行するという
ことを日々行っています。

商品開発から広告プロモーション、新人研修からマーケティングセミナー講師など
毎日多様なテーマの仕事をさせてもらっています。

その中で、「仕事」には次の3つの要素が重要なのではないか?
と考えるようになりました

要素①「自分の能力を最大限発揮する」
要素②「考えたことを伝える」
要素③「人とのコミュニケーション」

自分のアタマで考える、考えたことを伝える、その上で人とコミュニケーションを取り
ゴールに向かって進んでいく。

どんな仕事でも、本質は似ています。

武器としての哲学思考では、50の哲学キーワードが紹介されています。

今回は、仕事における3つの要素と照らし合わせ
日々の実務に特に役立っていると思うキーワードを、
5つ選びました。

「自分の能力を最大限発揮する」ためのキーワード
●フロー
●脱構築

「考えた事を伝える」ときに役立つキーワード
●ロゴス・エトス・パトス

「人とのコミュニケーション」に役立つキーワード
●他者の顔
●エポケー

下記、紹介していきます。

「自分の能力を最大限発揮する」ことに役立つキーワード

フロー

他のことが何も見えない、何も聞こえなくなるほどの深い集中状態のことを
フロー状態と呼びます。

「時間も忘れて没頭していた」

という経験、誰しもあると思います。

フローは、

自分の能力を最大限発揮するための考え方です

フローに入るためには、次のような状況があると報告されています。

①過程の全ての段階に明確な目標がある
目的が不明確な日常生活での出来事とは対照的に、フロー状態では、
常にやるべきことがはっきりとわかっている

②行動に対する即座のフィードバックがある
フロー状態にある人は、自分がどの程度うまくやれているか自覚している

③挑戦と能力が釣り合っている
自分の能力に見合ったチャレンジをしていて、簡単すぎて退屈することも
難しすぎて投げ出したくなることもない絶妙のバランスの上にいる

④行為と意識が融合する
完全に今やっていることに集中している

⑤気を散らすものが意識から締め出されている
完全に没頭して、日常のささいなことや思い煩いが意識から締め出されている

⑥失敗の不安がない
完全に没頭していて能力とも釣り合っているので、失敗への不安を感じない。
逆にもし不安が心に上がるとフローが途切れて、コントロール感が失われてしまう

⑦自意識が消失する
自分の行為にあまりに没頭しているので、他の人からの評価を気にしたり、心配したりしない。
フローが終わると、逆に自分が大きくなったかのような充実感を覚える

⑧時間間隔が歪む
時間が経つのを忘れて、数時間が数分のように感じる。

⑨活動が自己目的的になる
フローがもたらす体験を、意味があろうとなかろうと、ただフロー体験の充足感のために楽しむようになる。
例:芸術/音楽/スポーツ

フロー状態に入るための具体的ステップとして、

「なんとかやれるレベルの課題に挑戦する」
「外からの雑音を入らないようにして、集中する」

上記、2つの要素が必要です。

これは、自分の能力を最大限発揮するための要素でもあります。

考えた人:ミハイ・チクセンミントミハイ
アメリカの心理学者。心理学における「幸福」「創造性」「楽しさ」などを研究する。

脱構築

脱構築とは、簡単に言えば「二項対立」の構造を崩すということです。

二項対立は

「善と悪」 
「主観と客観」 
「優と劣」

ビジネスシーンでも

「強みと弱み」
「機会と脅威」
「利益とコスト」

など

実社会の問題を整理するときに、とても便利なのでよく用いられます。

脱構築は、

例えば
「A」という考えと「B」という考えで悩んでいるとき

「そもそも、AなのかBなのか、という問題設定自体がおかしい」

と考え直すことです。

議論や批判の王道ともいえる考え方で
反証事実を持ってきて反論するのではなく、相手の主張の内部的な矛盾を突くことで
反論をするイメージです。

自分自身、2項対立をよく使っています笑

むしろ
考えるきっかけや、混沌としている事象を整理するときに二項対立を活用することは
良いことだとも思っています。

ただ問題は
枠組みを設定することによって、かえって思考の広がりが制約を受けてしまう危険性があることです。

全てを2つの要素に捉えたり、一度整理したものに頑なに執着すると
思考の幅が狭まってしまうので、要注意です。

脱構築という哲学キーワードをしってから

「本当に2つの要素で整理しちゃっていいの?」
「この2つ以外にどんな要素があるだろう?」
「そもそも、この議論自体も適切なのだろうか?」

と、折を見て振り返る時間をつくるようにしています

考えた人:ジャック・デリダ
フランスの哲学者。ポスト構造主義の代表的哲学者と位置付けられている。
哲学のみではなく、文学、建築、演劇など多方面に影響を与えた。

「考えた事を伝える」ときに役立つキーワード

ロゴス/エトス/パトス

人に伝えるには
「説得よりも納得、納得よりも共感」

と言われます。

アリストテレスは「弁論術」という書籍の中で、

人に共感をしてもらい、行動を変えていくには
「ロゴス」「エトス」「パトス」の3つが必要だと言っています。

ロゴス:論理
まず前提として、「主張が理にかなっていること」が必要です。
論理だけでは人は動きませんが、論理が無くても人は動きません。

エトス:倫理
主張が理にかなっていても、道徳的に正しくなくては、人の共感は得られません。
そもそも、人は道徳的に正しいと思えるコト、社会的に価値があると思えるものに自らの
才能と時間を投入したいと考えるものだと、アリストテレスも言っています。

パトス:情熱
本人が情熱をもって一生懸命語ることで、人は引き込まれていきます。
どんなに正しく、どんなに理にかなっていることをいっていても
語る人本人のやる気が感じられなかったら、聞く耳を持ちませんよね。

考えた人:アリストテレス
古代ギリシアの哲学者。プラトンの弟子であり、ソクラテス、プラトンとともに、
しばしば西洋最大の哲学者の一人とされ、その多岐にわたる自然研究の業績から「万学の祖」と呼ばれる。

人とのコミュニケーションに役立つキーワード

他者の顔

他者とは、他人という意味ではなく「わかりあえない者、理解できない者」といったイメージです。

わかりあえない者が重要な理由は、他者が「気づきのきっかけ」になるからです。

自分の理解は、他者の理解とは異なっている。

その差異の事実を、学びや気づきのきっかけにすることにより、
今までとは違ったモノの見方が出来ます。

人と話していて刺激を受ける、学びになることは実体験としても経験が多いのではないでしょうか。

自分自身の仕事でも、企画書は必ず人に見てもらうようにしています。

自分で作っていて完璧だと思っても、他者の目を通すと抜けているところや、理解ができないところは
当然出てきます。

それこそが、気づきのきっかけになり、
企画書がさらに良くなっていきます。

自分と異なる価値観の人を、拒絶するのではなく
「差から何かを学びとる姿勢」
こそ、コミュニケーションにおいて大事なことではないでしょうか。

考えた人:エマニュエル・レビィナス
フランスの哲学者。
エドモンド・フッサールやマルティン・ハイデガーの現象学に関する研究をした。

エポケー

単純ではないもの、明確ではないものを明晰に把握しようとすることは難しいです。
特に、仕事でも日常でも「即答」できないことの方が多いのではないでしょうか。

「わかったつもり」

は、誤りを生み、他人との関係性も壊しかねない危険があります。

エポケー(古代ギリシア語:停止/中止/中断)とは、
「わかったつもり」にならないで、判断を留保することです。

この考えかたは、スピードや効率を求められている現代だからこそ
重要な考え方だと思います。

「わかったつもり」にならない

これを意識してみるだけでも、コミュニケーションが深まります。

考えた人:エドモント・フッサール
オーストリアの哲学者、数学者
「現象学」を提唱した。
現象学は20世紀哲学の新たな流れとなった。

まとめ

「自分の能力を最大限発揮する」ためのキーワード
●フロー
「なんとかやれるレベルの課題に挑戦する」
「外からの雑音を入らないようにして、集中する」

●脱構築
「A」という考えと「B」という考えで悩んでいるとき
「そもそも、AなのかBなのか、という問題設定自体がおかしいのでは?」
と考え直す

「考えた事を伝える」ときに役立つキーワード
●ロゴス・エトス・パトス
理にかなっているか?倫理的に正しいか?情熱はあるか?

「人とのコミュニケーション」に役立つキーワード
●他者の顔
「差から何かを学びとる姿勢」こそがコミュニケーションのカギ

●エポケー
「わかったつもり」にならないで、判断を留保する

哲学と聞くと、凄く難しく感じますが
「問題に対して、本質的なキーワード」を提示してくれています。

そのキーワードを、目の前の事象に合わせて変換することが
「哲学」を使うことになるのではないかと思います。

今回は、私が特に使っている5つのキーワードを紹介しましたが、
本書には、人/組織/社会/思考の4つのカテゴリから、計50個の哲学キーワードを
紹介しています。

哲学を仕事に活かすヒントをさらに深堀たい方におすすめです。

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